メニュー

フレイル予防に効果のあるスポーツとは?

[2024.10.17]

「運動したいけど、一人だと続かない…」 「体力がないから、私には無理かな…」 そんな風に思っていませんか? 実は、集団でスポーツに参加することは、高齢者の健康維持にとても効果的。最近の研究でも、スポーツへの参加が、フレイルの予防効果があること(体の衰えを遅らせ、心も元気にしてくれること)がわかっています。

 

フレイルとは?

フレイルとは、わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。

  • 最近ちょっと痩せてきたかも
  • 走るとすぐに息切れするようになってきた
  • 疲れやすくなった
  • 外出がおっくう

これらは、年齢を重ねると誰もが感じることで、このような虚弱の状態のことを『フレイル』といいます。フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が起きます。また、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、ストレスに弱い状態になってしまいます。早いうちから予防を心がけましょう。

 

フレイルに関する最近の研究結果

高齢者が集団で参加したスポーツのフレイル予防効果につい、、日本老年学的評価研究(JAGES)の3年間の追跡データを分析した研究結果が最近発表されました。


調査方法

対象者:北海道から九州までの14道県の都市部、準都市部、農村地域を含む28の市町村住む65歳以上の高齢者約7万人
     (男性 3万3746人  女性 3万6799人)
調査期間:3年間
調査内容:異なる種類のスポーツへの参加が、フレイル予防効果の変化にどのように影響するかを調査
評価方法:25項目のチェックリストの合計点を用いて3年間の変化量を算出

詳細:日本老年学的評価研究(JAGES)が、2016年と2019年の2回にわたって、集団スポーツへの参加状況とその後の健康状態に関するアンケートを実施。参加者は、20種類の集団スポーツについて、どのスポーツに参加しているかを報告しました。また、フレイルの進行状況を測るために「Kihon Checklist(KCL)」という自己申告式の質問票を使用しました。
※KCLは、日常生活動作や身体機能、栄養状態、口腔機能、認知機能、抑うつ気分などを総合的に評価し、スコアが高いほどフレイルが進行していることを意味します。

 

結果

  • ほぼすべてのスポーツでフレイル予防効果があることが示されたが、関係性と効果は活動の種類によって大きく異なることが観察された。
  • 男性では11種類のスポーツで、女性では8種類のスポーツが、特にフレイル予防に効果があることが判明した。これらの種類のスポーツへの参加はフレイルスコアの悪化を約1~2年遅らせるのと同等の効果があった。
  • 5つのスポーツ(ハイキング、ウォーキング、テニス、グラウンドゴルフ、ウェイトトレーニング)は、参加者の性別に関係なく、フレイル予防に効果的であった。
  • 男性の場合、フレイル予防効果のあるスポーツの特徴は、比較的高強度の有酸素運動やダイナミックな運動(ダンスやサイクリングなど)と競技ゲーム(ゴルフや卓球など)であった。
  • 女性の場合、比較的中程度の運動(フィットネス運動や太極拳など)と、自分の体に対する自己認識を高めるタイプの運動が効果的であることが判明した。
  • グループでハイキング、ウォーキング、テニス、グラウンド ゴルフ、またはウェイト トレーニングに参加した高齢者は、参加しなかった高齢者に比べて、フレイルの悪化の可能性が低かった。

どのようなスポーツがおすすめ?

研究では、ウォーキング、ランニング・ジョギング、フィットネスエクササイズ、ウェイトトレーニング、ハイキング、ゴルフ、グラウンドゴルフ、ゲートボール、ダンス、ヨガ、エアロビクス、ペタンク、太極拳、水泳、水中運動、卓球、ボウリング、サイクリング、テニス、その他のスポーツを対象として調査しました。その結果、男女間で効果の違いも観察されており、男性ではダンスやサイクリング、女性ではフィットネス運動や太極拳がよりお勧めできます。下記に男女別、フレイル予防に効果のあるスポーツを予防効果別にまとめています。

 

男性でフレイル予防効果が高かったスポーツ

スポーツの種目 フレイルの予防効果  
ダンス
サイクリング
水中運動
登山・ハイキング
★★★★★
ゴルフ ★★★★
卓球
散歩・ウォーキング
ランニング・ジョギング 
★★★
テニス
グラウンド・ゴルフ・
★★
筋トレ

 

女性でフレイル予防効果が高かったスポーツ

スポーツの種目 フレイルの予防効果  
登山・ハイキング ★★★
散歩・ウォーキング
テニス
★★
グラウンド・ゴルフ
体操
太極拳
筋トレ
水泳

※星評価について:星の数が多いほど、その活動がフレイルの進行を抑える効果が大きいとされています。

 

よくある質問

運動が苦手でも大丈夫?
大丈夫です。この研究では、様々な運動レベルの人を対象に行われました。自分に合った運動強度や種類を選ぶことで、誰でも参加できます。

体力がないとできない?
体力がない方でも、無理のない範囲から始めることができます。ウォーキングから始めて、徐々に運動量を増やしていくのもおすすめです。

どんな人が参加しているの?
年齢や性別、体力など、様々な人が参加しています。きっと、あなたと同じように健康になりたいと思っている人がたくさんいますよ。 

 

最後に

研究結果から、フレイル予防のためにはグループでスポーツ参加の機会を増やすことをお勧めします。男女ともにスポーツに参加しなかった人と比べ特に効果のあったスポーツは、ハイキング、ウォーキング、テニス、グラウンドゴルフ、およびウェイトトレーニングです。日本は男女とも平均寿命が延伸して、世界トップクラスの長寿国ですが、これからは「元気に自立して日常生活を送ることができる健康寿命」を伸ばすことが大切。フレイルは、対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があるものなのです。ぜひ、あなたも近くのスポーツ教室やサークルに参加して、元気な毎日を送りましょう!

 

お問い合わせ

メイトウホスピタルでは、フレイル予防や健康予防に関してご相談をお受けしています。

相談窓口はこちらまで:地域医療連携室電話
電話受付時間 月~金曜日 9:00~18:00

※電話がつながらない時は、代表番号052-701-7000へおかけ下さい。

 

メイトウホスピタルでは健康に関する情報を不定期で発信しています。下記記事もあわせてどうぞ。

認知症予防の最新情報と、あなたができること

 

【参考文献】

Tsuji et al.European Review of Aging and Physical Activity (2024) 21:8
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME