【高血圧専門医が解説】家庭血圧の正しい測り方
病院の検査や健康診断で「血圧が高い」と言われた……。 「でも、家で測れば正常だから大丈夫」とその数値を放置していませんか?
健康診断の再検査通知を見て、「あの時は緊張していたから」「直前に歩いたから血圧が上がっただけ」と、自分を納得させてしまう方は少なくありません。しかし、私たち専門医が本当に重視するのは、診察室での一時的な数値ではなく、あなたの日常が反映された「正しい家庭血圧」です。実は、家で測る血圧の中にこそ、将来の脳卒中や心臓病を未然に防ぐための「真実のデータ」が隠れています。この記事では、メイトウホスピタルの高血圧専門医が、正しい血圧の測り方と、血圧計の選び方のポイントを分かりやすく解説します。
正しい血圧の測り方の「黄金ルール」
朝・夜の「1日2回」、座って2分後に測定。ありのままを記録すべし
「測るたびに数値がバラバラで、どれを信じればいいかわからない」と悩む方は多いですが、血圧は動いたり、考え事をしたりするだけで変動する繊細なものです。だからこそ大切なのは、「いつも同じ条件」で測ること。以下の黄金ルールを守るだけで、データの信頼性はぐっと高まります。
【黄金ルールの手順】
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椅子に座る(背もたれに寄りかかり、リラックス)
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1〜2分待つ(すぐに測るのはNG!)
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ボタンを押して測定(測定中はしゃべらない)
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少し時間を置いて、もう一度測定(原則1機会に2回)
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2回の数値をそのまま記録する
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ポイント1:測定のタイミングは「朝」と「夜」
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朝: 起床後1時間以内、トイレを済ませて、朝食・服薬の「前」に
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夜: 寝る直前
※「朝食を食べる前」「薬を飲む前」「寝る直前」という条件を毎日揃えるのがコツです
ポイント2:測定前の「1〜2分」が、正確さの鍵
椅子に座ってすぐにボタンを押していませんか? まずは背もたれに寄りかかって、1〜2分間ゆったりと安静にしてください。この「一息つく時間」が、血管をリラックスさせ、あなたの本来の血圧を引き出します。
ポイント3:測定回数:1回だけで終わらせない
各タイミング(朝・夜)で、原則2回ずつ測定してください。
【専門医のアドバイス】1回目は「測るぞ」という意識から、体が少し構えてしまい数値が高く出がちです。2回測ってその平均で医師は判断します、あなたの血管の「本来の実力」がより正確に見えてきます。もし1回しか測れなかった日は、その数値をそのまま記録してOK。まずは「続けること」を目標にしましょう。
血圧計選び:迷ったら「上腕式」一択
「手軽さ」よりも「正確さ」。診断には上腕式が必要です。
いざ血圧計を買おうとすると、手首で測るタイプと腕に巻くタイプ、どちらが良いか迷いますよね。「これから自分の体を正しく知ろう」という方に、医師がおすすめするのは、断然「上腕カフ式(上腕式)」です。
なぜ「上腕式」でなければならないのか?
血圧測定において最も重要なのは、「心臓と同じ高さで測る」ことです。 手首式は便利ですが、位置が少しずれるだけで値が変わりやすいく、扱いに注意が必要です。一方、上腕式は自然と心臓に近い位置で固定されるため、誤差が少なく、病院での診察データとしても非常に信頼性が高いのです。
【専門医のアドバイス】日本高血圧学会のガイドラインでも、家庭血圧の基本は上腕式とされています。手首式は便利ですが、あくまで「外出用」などのサブとして考え、メインの1台には上腕式を選びましょう。
見落としがちなポイント:カフ(腕帯)のサイズ
実は、血圧計本体よりも大切なのが、腕に巻く「カフ」のサイズです。
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腕が太めの方: 標準サイズを無理に巻くと、血圧が実際より高く出やすくなります。
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腕が細めの方: ゆるすぎると、逆に低く出てしまいます。
特に筋トレをされている方や体格の良い方は、購入前にご自身の「上腕周囲(二の腕の真ん中あたりの太さ)」を測り、そのサイズに適応したモデルを選んでください。
あると便利な「治療に役立つ機能」
最近の血圧計にはさまざまな機能がありますが、以下のものがあると診察がスムーズです。
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測定値のメモリー機能: 過去の数値を自動で保存してくれます。
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スマホ連携(Bluetooth): アプリにデータが飛ぶので、グラフ化して受診時に見せやすくなります。
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カフの巻き方チェック: 正しく巻けているかランプで教えてくれる機能があると、測定ミスが防げます。
- 平均値表示:あくまで「今の自分の状態を客観的に知る」ための目安として活用してください。
実践!NG行動リスト
その測り方、血圧を「偽物」にしていませんか?
正しい手順で測っていても、測定前後のちょっとした行動で血圧は大きく変動してしまいます。患者様ががついついやってしまいがちな「NG行動」をまとめました。
1.夜の測定タイミング、基本は「就寝前」ですが、お酒とお風呂に注意!
夜の血圧は「寝る直前」に測るのが基本ですが、これには大切な条件があります。それは、「入浴や飲酒の影響を受けていないこと」です。お風呂上がりやお酒を飲んだ直後は、一時的に血圧が低く出やすいため、本来の数値が測れません。
あなたのライフスタイルに合わせて、以下のタイミングで測定してください。
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お酒を飲まない・お風呂が早い方: 基本どおり「寝る直前」に測ります。
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寝る直前にお風呂や晩酌を楽しむ方: 入浴や飲酒の「前」に測るのが理想です。
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どうしても入浴・飲酒後に測る場合: 少なくとも1時間以上空けてから、寝る直前に測ってください。
【専門医のアドバイス】大切なのは「毎日同じ条件」で測ることです。もし「今日は飲み会で条件がバラバラになった」という時は、無理に正しい数値を狙おうとせず、メモ欄に「飲酒後」と書いておくだけで大丈夫。その一言があるだけで、私たちはデータを正しく判断できます。
2. カフェイン・喫煙の直後はNG
コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェイン、そしてタバコは血管を収縮させ、血圧を急上昇させます。測定の直前はこれらを控え、体が落ち着いた状態で測りましょう。
3. 「納得いくまで測り直す」のはやめましょう
「数値が高かったから、低くなるまで何度も測り直す」というのは、放置層の方が最も陥りやすい罠です。ありのままの数値を先ずは記録していきましょう。
【専門医のアドバイス】ガイドラインでも、1つのタイミングで4回以上の測定は推奨されていません。
医師が診察室で「本当に見たい」データとは?
「記録」はありのまま、すべて。判断は医師に任せてください。
診察室で私たちが知りたいのは、あなたの血管の「1週間のドキュメンタリー」です。良い場面(低い数値)だけを切り取ったダイジェスト版ではありません。
「全部書く」のが鉄則です
たまに高い数値が出ても、ガッカリする必要はありません。むしろ、その「高かった瞬間」がいつなのかを知ることで、あなたの生活のどこにリスクが隠れているかが見えてきます。
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全ての数値を記録: 隠さずに教えていただくことが、最適な治療への近道です。 1機会に2回測ったら、2回とも記録。
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メモが診断のヒントに: 「寝不足だった」「仕事が忙しかった」「頭痛がした」など、体調の変化を添えていただけると非常に助かります。
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1〜2週間続ける: たまに測るのではなく、同じ条件で継続したデータが最強の診断材料になります。
受診の目安は「5日〜1週間分」のデータ
たった1日、血圧が高かったからといって、すぐに「高血圧症」と診断されるわけではありません。
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まずは5日間: 朝・夜の測定を5日間以上続けてみてください。
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平均135/85mmHg以上: 家庭血圧の平均がこの数値を超えている場合、医療機関への相談をおすすめします。
【専門医のアドバイス】 1週間分のデータがあれば、私たちは「薬を使い始めるべきか」「まずは生活習慣の改善で様子を見られるか」を判断できます。記録はアプリでも紙のノートでも、あなたが続けやすい方法で構いません。
よくある質問(患者さんが迷いやすいポイント)
測定を始めると、いろいろな疑問が湧いてくるものです。診察室でよくいただく質問をまとめました。
Q1. 1回だけすごく高い数値が出ました。もう「高血圧」確定ですか?
A. 1回だけでは確定しません。 血圧はその時の体調や精神状態、気温などでも変動します。たった1回の数値で一喜一憂する必要はありません。同じ条件で数日間測り続け、その「平均値」を見て判断します。
Q2. 数値が良い日が続いたら、薬を飲むのをやめてもいいですか?
A. 自己判断での中止や増減は、絶対におやめください。 血圧が安定しているのは、お薬がしっかり効いている証拠かもしれません。急に服用を中止すると、反動で血圧が急上昇し、脳出血や心筋梗塞などの危険な状態を招く恐れがあります。数値に変化があったときは、必ず主治医に相談し、一緒に調整していきましょう。
Q3. 朝と夜、どちらの数値がより重要ですか?
A. どちらも重要ですが、特に「朝」は大切です。 朝の血圧は、睡眠の質や前日のストレス、生活習慣の影響が色濃く反映されます。朝の血圧が高い状態(早朝高血圧)は、心血管疾患のリスクが高いと言われているため、同じ条件で継続して測る価値が非常に高いのです。
まとめ:今から実践!家庭血圧チェックリスト
「血圧が高め」と言われたときは、まず自分の本当の数値を知ることが第一歩です。 迷わずに測定をスタートできるよう、この記事のポイントをチェックリストにしました。ぜひ、スマホでスクリーンショットを撮って、血圧計のそばに置いておいてください。
【これだけは守りたい!5つのポイント】
✅タイミング: 朝(起床1時間以内・トイレ後)と夜(寝る前)の1日2回
✅環境: 椅子に座り、1〜2分間ゆったり安静にしてからボタンを押す
✅姿勢: 背もたれに寄りかかり、足は組まずにリラックス
✅測定: 腕帯(カフ)は心臓と同じ高さに合わせ、原則2回測ってすべて記録
✅記録: 「高い数値」も隠さず、すべてをメモ(1〜2週間分あれば理想的!)
最後に医師からのメッセージ
「まずは1週間」から、始めてみませんか?
高血圧は「サイレント・キラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれ、自覚症状がないまま血管を傷つけていきます。 しかし、正しく測り、正しく向き合えば、将来の脳卒中や心臓病のリスクは確実に下げることができます。「まだ大丈夫」と先送りにせず、まずは5日間〜1週間の記録を持って、メイトウホスピタルへご相談ください。その数値が、あなたとご家族の未来を守る大切な一歩になります。
監修医師プロフィール
加藤 公彦(かとう きみひこ)医師
医療法人香徳会 理事長 / 循環器内科専門医
メイトウホスピタル 公式サイト
(総合内科専門医 No. 8624)
毎週火曜日・水曜日外来担当
専門分野である循環器内科の視点から、高血圧、心不全、虚血性心疾患などの診断・治療に長年従事。生活習慣病の早期発見と予防医療に尽力している。
当院でのサポート体制について
メイトウホスピタル循環器内科では専門医が患者様に合わせた健康アドバイスを行っています。
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