メニュー

冬に増える!?胃潰瘍の原因・治療・予防

寒い冬になると、「お腹の調子が悪い」「食欲がわかない」など胃の不調を抱える人が急増。その中でも特に多いのが「胃潰瘍」。

冬の時期は寒さや年末年始の暴飲暴食、ストレス、ひいては寒さによる血行不良など、生活習慣が胃腸に負担をかけ、胃もたれや胃痛を引き起こす原因の一つと考えられています。これらは早期に対処しないと重症化する恐れがあるため注意が必要です。

では、なぜ冬に胃潰瘍などの消化器系の病気が増えるのでしょうか?

この記事では、医学的に明らかになっているその原因を詳しく解説し、さらに寒い季節を健やかに過ごすための予防ポイントをご紹介します。「胃がカチコチに凍りついているような…」そんな経験がある方も、健康的な冬を過ごしたい方も、ぜひご覧ください。

 

冬に胃潰瘍が増える理由

初めに、寒い冬に胃潰瘍が増える理由として、医学的な研究*1から立証されている3つのポイントをご説明します。

①寒さによる血行不良

寒くなると血管が収縮し、胃への血流が悪くなります。胃の粘膜は血流によって保護されているため、血行不良が続くと粘膜が弱り、胃酸に侵されやすくなります。

②胃酸分泌の増加

寒さから体を守るために、体はエネルギーを多く消費します。その結果、胃酸の分泌も活発になり、胃粘膜を刺激することがあります。

③ストレスと生活リズムの変化

寒い季節は日照時間が短く、活動量が減少しやすいため、精神的なストレスが増えがちです。さらに、年末年始には忘年会や新年会といった飲み会が増え、暴飲暴食や過度なアルコール摂取、喫煙の機会が多くなります。これにより胃腸が刺激され、胃粘膜がダメージを受けやすくなるのです。

つまり、寒さ、食生活の乱れ、そしてストレスといった複合的な要因が、冬に胃潰瘍が増える主な原因と考えられています。

 

胃潰瘍とは

よく聞く病名ですが、皆様ご存じでしょうか。胃潰瘍とは、胃の粘膜に傷がつき、その後に胃酸の影響で深い部分まで達する状態です。下記イメージ図の②~④の状態のことを指します。

 

胃潰瘍を引き起こす主な原因

胃潰瘍は、単に寒さだけが原因で起こるわけではありません。様々な要因が複合的に作用して発症します。

  • ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染
  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
  • ストレスと生活習慣

一般的な要因として、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用、ストレス、刺激物の過剰摂取などがあげられます。

胃潰瘍の症状・診断・治療

胃潰瘍の症状は、重症度や原因によっても変わってきます。痛みの感じ方も個人差があります。またその後の治療も重症度によって変わってきます。

一般的な症状

胃痛(みぞおちのあたり)・胸やけ・食欲不振・嘔吐・血便・吐血・体重減少・げっぷが出る・便が黒い

放置すると胃に穴が開き(胃潰瘍穿孔)、手術が必要になる場合があります。胃から多量に出血して吐血・下血してしまった場合は、出血多量によって血圧が低下し、救急受診を余儀なくされることもあります。自己判断せずに、異変を感じた際には専門医の診察を受けましょう。

胃潰瘍の診断

胃潰瘍の検査・診断は、X線検査(バリウム検査)または、内視鏡検査(胃カメラ)によって行われます。どちらがいいかは主治医に相談しましょう。

胃潰瘍の治療法

症状が軽度の場合は、薬物療法を行います。潰瘍が大きい場合や、出血を伴う場合は、内視鏡手術を行います。

胃潰瘍の薬物療法:「プロトンポンプ阻害剤(PPI)」や「H2ブロッカー」といった胃酸を抑える薬の内服や注射に加えて、粘膜を保護する胃薬を数週間内服します。

胃潰瘍の内視鏡手術:胃カメラで確認しながら、出血部位をクリップと呼ばれる小さな金具で縛ったり、出血部の血管を焼きつぶすなどの止血処置を行ないます。輸血や鉄剤など、貧血に対する治療が必要なこともあります。胃潰瘍になる原因の多くを占めるピロリ菌がいる場合は、除菌治療も並行して行ないます。

胃潰瘍のステージ

胃潰瘍は、潰瘍ができた活動期(A:active stage)、治療中の治癒過程期(H:healing stage)、治る前のはんこん期(S:scarring stage)に分けられ、それぞれ1と2の段階があります。

A1が最も重症で、食後少し時間が経ったとき痛みが起こりやすく、軽食をとると痛みが和らぐ傾向にあります。H2では痛みがほぼなくなりS2ではほとんどの症状が消失します。痛みや症状は個人差もあるため、自覚症状がない場合でも病気が進行することがあるため、注意が必要な病気でもあります。

 

胃潰瘍の予防策 ~健康的な冬を過ごしましょう~

年末年始は、楽しいイベントが盛りだくさんですが、同時に胃腸に負担をかける習慣が増える時期でもあります。下記点が当てはまる方は改善していきましょう。

  • 暴飲暴食
  • 過度なアルコール摂取
  • 喫煙
  • ストレス過多

まとめ

胃潰瘍のリスクが高まる今、生活の見直しを行っていきましょう。また、胃の不調を感じたら、早めに消化器内科を受診し、適切な診断・治療を受けましょう。

 

あなたの健康な胃を守る第一歩は、日々の予防と意識から始まります。

 
 
 
 
 

参考文献:Seasonal changes in gastric mucosal factors associated with peptic ulcer bleeding

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME