胃がん検診の重要性と適切な選択
胃がんは、早期発見が非常に重要な疾患です。そのため、適切な検診方法を選ぶことが、予防と早期発見には極めて重要といわれています。この記事では、自分に合った検診を見つける方法について解説します。予防と早期発見に努めましょう。
胃カメラとバリウム検査:どちらが適切?
健康診断でお馴染みの「胃内視鏡検査(胃カメラ)」と「胃部X線検査(バリウム検査)」は、胃の病気を調べるための主要な方法です。会社の健康診断などで一度は受けたことがあるかもしれません。今回は、それぞれの検査の特徴やメリット・デメリット、さらに要精密検査と言われた場合の流れについて解説します。
バリウム検査(胃部X線検査)とは
バリウム検査では、バリウム(造影剤)と発泡剤を飲み、胃の表面(粘膜)に薄く付着させます。バリウムはX線(レントゲン)で撮影すると白く鮮明に映るため、表面に付着したバリウムをいろいろな角度から撮影することで胃の形や粘膜の輪郭・凸凹具合から異常を推測します。白黒の影絵を見て異常がないかを判断するもので、凸凹のない平坦な病変や色の違いは認識できません。
バリウム検査は苦痛や検査後の便秘などの問題があるものの、胃がんの発見に科学的な根拠が認められています。
下記の病気の発見にも役立ちます
胃憩室、胃粘膜下腫瘍、その他胃隆起性病変、食道がん、食道潰瘍、食道ポリープ、食道アカラシア、十二指腸潰瘍、十二指腸憩室など
胃カメラ検査(胃内視鏡検査)とは
先端にカメラがつけられた電子内視鏡を鼻もしくは口から挿入し、食道・胃・十二指腸の一部までの領域をカメラで直接観察します。色の変化や、わずかな粘膜の隆起や凹み、模様のちがいが認識でき、早期がんの発見に特に有効です。
当院では鎮静剤の使用や口からチューブを挿入する経口内視鏡、鼻からチューブを挿入する経鼻内視鏡など、ご希望に応じて選択ができます。
下記の病気の発見にも役立ちます
食道がん、十二指腸がん、ヘリコバクター・ピロリ菌、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、胃ポリープ、胃アニサキス、逆流性食道炎、機能性胃腸症など
胃カメラとバリウムの違いは?
胃カメラ(胃内視鏡検査) |
バリウム(胃部X線検査) |
|
所要時間 |
検査は約10~20分程度。トータルで1~2時間 |
検査は約10分前後 |
使用するもの | スコープ(胃カメラ) | 造影剤(液体) |
結果 | 色の変化や粘膜の状態がわかる | 胃の形状や大きな異常がわかる。再現性には乏しい。 |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
どちらの検査を受けるべきか?
胃がんには早期がんから進行がんまであり、どの段階で見つかるかによって、手術のやり方や予後に違いが生じます。早期胃がんの発見率では胃カメラに軍配が上がります。一方、バリウム検査でも早期胃がんは発見できますし、特殊な胃がんならバリウム検査のほうが見つけやすい事もあります。下記項目を見て参考に、または病院スタッフにご相談ください。
バリウムがおすすめな方
- 胃の検査にあまりお金をかけたくない
- 今まで胃の病気なんてしたことない
- 40歳未満
上記のような方は、胃バリウム検査でいいかもしれません。
胃カメラがおすすめな方
- しっかりと胃を調べたい!
- 家系に胃がんになった人がいる・・・
- 最近、食欲がない
- 名古屋市在住50歳以上(ワンコインで受けられます)
上記のような方は、胃カメラをお勧めします。
胃カメラは費用は掛かりますが、医師が直接胃の中を見て詳しく観察できるため、早期の胃がんの発見には内視鏡検査のほうが有用といえるでしょう。
どちらの健診も対象年齢の人なら『名古屋市ではワンコイン検診』で500円の自己負担金で受けられます。
検査関連の情報
検査に伴う「げっぷ」のはなし
どちらの検査も「げっぷ」を我慢するようにいわれます。胃カメラであれば「げっぷ」を出してしまっても、カメラから再度空気が送り込めますし、カメラの操作で空気量を調整できます。一方、バリウム検査の場合「げっぷ」をする度にいったん検査を休止して再度発泡剤を飲んでもらいます。
検査の結果、精密検査になった場合
バリウム検査で何か異常が見つかった際は、胃カメラをの受診をおすすめします。
胃カメラ検査の結果、がんの疑いが認められた場合は、再度、胃内視鏡検査を行って疑わしい部位の組織を採取します。初回の内視鏡検査で疑わしい病変が見つかった場合、検査中に組織採取まで行うこともできます。採取した組織は顕微鏡を使って詳しく調べ、がんかどうかを診断します。
バリウム検査や胃カメラが不安な方へ
ここまでお読みいただいて、どちらの検査も大変そう、まだ自分には必要ではないかなと考えている方。胃がんリスク検査(ABC検診)やピロリ菌検査という選択もあります。
最近の研究によると、胃がんのほとんどが、ピロリ菌が原因になっていることがわかってきました。つまり、ピロリ菌の有無から胃がんが発生しやすい状態かどうか調べると将来のリスクがわかるということです。これは血液検査で行うもので、体へのご負担も他の検査に比べると少なく済みます。
ピロリ菌検査と胃がんリスク検査の違いとおすすめ対象年齢
ピロリ菌検査と胃がんリスク検査(ABC検診)は、胃がんのリスク評価に役立つ重要な検査ですが、その目的と推奨される対象年齢には違いがあります。
ピロリ菌検査は、胃がんの原因とされるヘリコバクター・ピロリ菌の有無を確認する検査です。
特に胃がんの家族歴がある方や胃炎、胃潰瘍の症状が見られる方に推奨されます。(名古屋市在住の39歳以下の方であれば1回まで検査料無料です。)
胃がんリスク検査(ABC検診)は、ピロリ菌の有無に加えて、胃粘膜の萎縮の程度を評価し、胃がん発生のリスクを3つのグループ(A、B、C)に分類する検査です。この検査は、特に40歳以上の方に推奨されます。
さいごに
さまざまな検査をご紹介いたしましたが、バリウムや胃カメラは現在の状態、胃がんリスク検査は将来の状態の予測と考えると良いでしょう。胃の検査にはさまざまなものがありますが、どれを選ぶかは、自身のさまざまな要因が関係してきます。迷ったときは医師にご相談ください。
胃カメラ検査、バリウム検査、胃がんリスク検査のご予約はこちらからどうぞ
※胃カメラ、バリウム検査ご希望の方は胃がん検診をご選択ください。こちらから追ってご連絡し詳細をお伺いいたします。