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不眠症と心房細動の関連とは? 〜動悸・脈の乱れのセルフチェックと日本人178万人データの読み方〜  [2026.09.26更新]

監修:加藤 公彦 理事長・医師
日本循環器学会 認定 循環器専門医/日本救急医学会 認定 救急科専門医

夜、ベッドに座って手首の脈を確かめる女性のイラスト

※ 本記事は受診先選びの参考となる一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

はじめに

「夜なかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」——そんな日が続いているうえに、最近は動悸も気になる。そんなご相談を外来でうかがうことがあります。

2026年、日本人約178万人の全国規模データを用いて、不眠症と心房細動(しんぼうさいどう)という不整脈の「関連」を調べた研究が報告されました。この記事では、(1) 研究でわかったこと・わからないこと、(2) 動悸・脈の乱れと不眠のセルフチェック、(3) 受診の目安、の3つをご紹介します。

心房細動とは

心房細動は、心臓の上の部屋(心房)が細かく震えるように動いてしまい、脈が不規則になる不整脈です。動悸・息切れ・だるさなどを感じる方もいれば、ほとんど自覚症状のない方もいます。心房細動では心房の中に血のかたまり(血栓)ができやすくなることがあり、脳梗塞や心不全との関連が知られています。自覚症状がなくても、検査で確認し、適切に管理することが推奨されている不整脈です。

2026年に報告された研究の要点(日本人178万人データ)

岡山大学・東京大学の研究グループが、国内の診療・健診データベース(DeSCデータベース)を用いて、心房細動の既往がない約178万人を追跡した観察研究を報告しました(Journal of the American Heart Association 2026年4月20日号)。

  • 対象約178万人のうち、不眠症のある方は21万6,919人(12.2%)
  • 追跡期間中央値3.7年の間に、2万5,779人(1.4%)が新たに心房細動を発症
  • 心房細動の発症率は、不眠症のある群で1万人年あたり57.8、ない群で35.4
  • 年齢や持病などを調整した後も、不眠症のある方では心房細動の発症リスクが約1.14倍(14%)高いという関連が示されました(調整後ハザード比1.14、95%信頼区間1.10〜1.18)
  • 65歳未満の方と女性で、この関連がより強い傾向も報告されています(追加解析であり、確定的なものではありません)

読み方の注意(ここが大切です)

  • これは観察研究であり、「不眠症が心房細動を引き起こす」という因果関係を証明したものではありません。生活習慣やストレスなど、データに表れない要因の影響を完全には除ききれません。
  • 数字を日常の感覚に置き換えると、1年間に心房細動を発症する方は、不眠症のある群で1万人中約58人、ない群で約35人です(1万人を1年間観察した場合の目安)。差はあるものの、「不眠だと高い確率で不整脈になる」という話ではありません。過度にご心配なさらないでください。
  • 一方で、研究グループは、心房細動への対策を考えるうえで睡眠にも目を向ける必要性を指摘しています(睡眠を整えることで心房細動を予防できると確認されたわけではありません)。睡眠を整えること自体は、血圧や生活の質の面からも意義があると考えられています。

動悸・脈の乱れと不眠のセルフチェック

自宅でスマートウォッチと手帳を使って体調を記録する女性のイラスト

以下に当てはまるものが複数ある場合は、一度ご相談ください。

  • 寝つきが悪い・夜中に何度も目が覚める状態が3か月以上続いている
  • 日中の強い眠気・だるさで仕事や家事に支障がある
  • 脈が飛ぶ・ドキドキと速くなる感じがたびたびある
  • 脈がバラバラで規則性がない気がする(手首の脈のほか、家庭用血圧計の脈拍表示で気づくことがあります ※機種により機能は異なります)
  • いびきが大きい・睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された(睡眠時無呼吸の可能性)

※ 高血圧・糖尿病・飲酒習慣は、心房細動のリスク因子として知られています。当てはまる方は上記のサインにより注意してみてください。

受診の目安・タイミング

様子を見てもよい場合

  • 一時的な寝不足で、体調の変化や動悸を伴わない場合(まずは睡眠習慣の見直しを)

早めの受診をご検討ください

  • 不眠が3か月以上続いている、市販の睡眠改善薬に頼りがちになっている
  • 動悸・脈の乱れをくり返し感じる
  • 健診で「脈の乱れ」を指摘された、または家庭用の機器(血圧計・スマートウォッチなど)に脈の乱れが表示された

🚨 以下の症状がある場合は、自己判断せず、緊急時は 119番、または地域により利用可能な救急相談窓口(#7119等)をご活用ください(利用可否は地域により異なります)。

  • 急に片側の手足が動かなくなった、しびれた
  • 急に話しにくくなった、ろれつが回らない
  • 突然の激しい頭痛
  • 意識がもうろうとする
  • 胸痛、強い息切れ、冷汗を伴う

当院での対応

診察室で医師に相談する女性のイラスト

当院では、内科外来において保険診療の範囲で次のような対応を行っています。

  1. 問診:睡眠の状況(寝つき・中途覚醒・いびき)、動悸の起こり方、飲酒・カフェイン・服薬状況などをうかがいます。
  2. 検査:心電図、必要に応じてホルター心電図(長時間心電図)、血液検査(甲状腺機能など)、血圧測定を行います。
  3. ご提案:睡眠習慣の見直し(就寝・起床時刻、光・カフェイン・飲酒との付き合い方)を基本に、必要と判断される場合は治療の選択肢をご説明します。睡眠薬を使用する場合も、種類・量・期間を医師と相談しながら進めます。
  4. 連携:心房細動が見つかった場合の専門的治療(カテーテルアブレーションなど)や、睡眠時無呼吸の精査が必要な場合は、専門の医療機関へご紹介します。

医師が血圧計を前に説明する診察室のイラスト

当院で心房細動や睡眠障害の確定診断・専門的治療のすべてを行うものではありません。必要に応じて、循環器内科・睡眠医療を専門的に扱う医療機関と連携します。

よくある質問

Q1. 不眠を治療すれば、心房細動は予防できますか?
今回の研究は関連を示したもので、不眠症の治療により心房細動を予防できるかどうかは、まだ確認されていません(詳しくは上の「読み方の注意」をご覧ください)。睡眠のご相談自体は当院でも承っています。

Q2. 市販の睡眠改善薬を続けて使ってもよいですか?
市販薬は一時的な不眠向けのものです。長く続く不眠に自己判断で使い続けることはお勧めしません。使用状況をお薬手帳などにまとめて、外来でご相談ください。

Q3. スマートウォッチに「心房細動の可能性」と通知が出ました。
通知は医学的な確定診断ではありませんが、受診のきっかけとして大切な情報です。通知の画面やデータをお持ちのうえ、外来でご相談ください。スマートウォッチと心房細動の付き合い方は、スマートウォッチ心電図と心房細動で詳しくご紹介しています。

まとめ

  • 日本人約178万人の観察研究で、不眠症のある方は心房細動の発症リスクが約1.14倍(14%)高いという関連が報告されました。
  • ただし因果関係を証明したものではなく、実際の差は年間1万人あたり約22人です。過度な心配より、睡眠を整えること・脈のサインに気づくことが大切です。
  • 不眠が3か月以上続く、動悸や脈の乱れをくり返す場合は、早めに内科へご相談ください。

参考文献

  1. Journal of the American Heart Association(JAHA)2026年4月20日号. DOI: 10.1161/JAHA.125.045149(岡山大学・東京大学の研究グループ/DeSCデータベース約178万人の観察研究)

※ 本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、医師による診断・治療の代わりとなるものではありません。実際の診断や治療方針は、症状・既往歴・服薬状況などを総合的に評価したうえで決定されます。気になる症状がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。

※ 検査や治療の効果・経過には個人差があります。治療方針の決定には、医師の診察・検査・説明を経た同意(インフォームド・コンセント)が必要です。

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この記事の筆者・監修


加藤 公彦
メイトウホスピタル 理事長
日本循環器学会 循環器専門医/日本救急医学会 救急科専門医

専門分野である循環器内科の視点から、高血圧、心不全、虚血性心疾患などの診断・治療に従事。

医学的内容の最終確認日:2026年9月26日(監修:加藤公彦)

当院でのサポート体制について

メイトウホスピタル循環器内科では専門医が患者様に合わせた健康アドバイスを行っています。

ネット予約(対面診療)

初診の方でもインターネットからご予約を承っております。不眠や動悸に関するご相談は、原則として対面診療をご検討ください。

ドクターLINE

LINEは、予約や受診方法などのお問い合わせ窓口です。オンライン診療(状態が安定している方の継続診療等が対象)の予約お問い合わせも、LINEから『オンライン診療希望』とお伝えください。

LINE上で診断や緊急性の判断は行いません。緊急症状がある場合は、LINEへの連絡ではなく119番へ。

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お知らせを更新しました。 [2026.09.24更新]
外来診療変更のお知らせ
75歳を過ぎた高血圧、どのお薬から始める? 〜ARBとCa拮抗薬の違いと考え方〜  [2026.09.21更新]

監修:加藤 公彦 理事長・医師
日本循環器学会 認定 循環器専門医/日本救急医学会 認定 救急科専門医

※ 本記事は受診先選びの参考となる一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の薬剤を推奨するものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

はじめに

75歳を超えた方の高血圧治療について、「そもそも薬を続けたほうがよいのか」「どの薬から始めるのがよいのか」というご相談を、外来で受けることが増えています。年齢を重ねると、若い頃と比べて薬の効き方や副作用の出方も変わり、選び方に迷われるのは自然なことです。

近年、日本人の高齢者を対象とした調査結果が報告され、降圧薬の選び方について参考となる知見が加わりました。この記事では、75歳以上の方が降圧治療を始める場合の代表的な選択肢である「ARB」と「カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)」について、両者の違いと、報告された研究の読み方、当院での考え方をご紹介します。

治療方針は一人ひとりのお体の状態・持病・服用中のお薬によって変わります。この記事は薬の推奨を目的とするものではなく、主治医とご相談いただく際の参考としてお読みください。自己判断で服薬を中止・変更しないでください。

高齢者の高血圧治療で使われる代表的な薬

日本国内で、外来で新しく高血圧の治療を始める場合の第一選択となることが多い薬は、主に次の2種類です。

その1 ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)

血管を収縮させる物質(アンジオテンシンII)の働きを抑え、血管を広げて血圧を下げるお薬。

その2 Ca拮抗薬(カルシウム拮抗薬/CCB)

血管の平滑筋にカルシウムが入るのを抑え、血管を広げて血圧を下げるお薬。

どちらも降圧薬として長年の実績があり、有効性・安全性が確認されている薬です。状況により、いずれも第一選択となり得ます。個別の薬剤選択は、患者さまお一人おひとりの状態を診察の上で判断します。

治療の対象となる方

一般に、以下のような方は降圧治療の適応を検討する対象となります(実際の判断は必ず医師の診察に基づきます)。

  • 診察室血圧または家庭血圧の平均値が高い状態が続いている
  • 高血圧に加え、糖尿病・脂質異常症・慢性腎臓病・脳心血管疾患の既往などのリスクを合わせ持つ
  • 生活習慣(減塩・運動・体重管理・節酒・禁煙)の見直しを行っても目標の血圧に達しない

次のような方は「一律に強い降圧」を目指すのではなく、慎重な判断が必要です。

  • ふらつき・立ちくらみ・失神歴がある
  • 服用中の薬が多い(ポリファーマシー)
  • 認知機能や日常生活動作(ADL)が低下している
  • 極端な低栄養・脱水傾向がある

高齢者では、下げすぎによるふらつき・転倒・急性腎障害のリスクにも配慮した目標設定が必要となります。

2026年に報告された関連研究(分かること・分からないこと)

日本の高齢者を対象とした診療データベース(LIFE Study)を用いた、75歳以上の方を対象とする観察研究が2026年に報告されました(元論文は Journal of the American Geriatrics Society 2026年4月26日オンライン掲載)。

過去12か月間にARBもCa拮抗薬も処方されていなかった方を対象とし、統計手法(target trial emulation)でランダム化試験に近い形に整えた上で、両薬効群の予後を比較した観察研究です。

読み方の注意(ここが大切です)

この研究にはいくつか限界があり、「どちらの薬が一律に優れている」と単純に読み替えることはできません。

  • 観察研究であり、ランダム化試験ではない:生活習慣・服薬遵守・医師の処方判断など、データに現れない要因の影響を完全には除ききれません。
  • 降圧効果そのものは両者とも確立しています。どちらも長年の実績があり、状況によりいずれも第一選択となり得ます。
  • 腎機能アウトカムには群間の差は認められていません。
  • 薬剤選択にあたっては、降圧効果以外の副作用・併存疾患・服用中の他剤との相互作用を含めた総合的な判断が必要です。

つまり、「高齢の方の降圧薬をどれにするかを主治医と相談するときの、判断材料の一つが増えた」という位置づけの研究です。詳細な数値・優位方向は原著をご参照ください。

もう一つの論点:血圧はどこまで下げるか

75歳以上の血圧目標については、国際的にも議論が続いています。2026年3月には、STEP試験の事後解析として「罹病期間が長いほど、厳格な降圧(試験プロトコル上の目標値:収縮期110〜130mmHg)と標準的な降圧とで、心臓・血管・腎臓への影響が異なる可能性」を示す解析が Medical Tribune で報告されました。この数値は試験上の設定であり、個々の患者さんの目標値ではありません。

一律に厳しく下げるほど良いとは限らず、その方の高血圧の罹病期間・臓器障害の有無・虚弱の程度を踏まえて、目標値を個別に設定することが重要です。

高齢の方では特に、「収縮期を◯◯まで下げれば大丈夫」と一律に決めつけず、家庭血圧の推移・ふらつきの有無・日常生活での体調変化を見ながら、無理のない目標に着地させていく形が現実的です。

治療の流れ(当院の場合)

  1. 初診・問診:血圧手帳・お薬手帳・健診結果をお持ちください(所要目安 30〜45分)。血圧手帳がなくても大丈夫です。まずはそのままお越しください。
  2. 検査:診察室血圧、家庭血圧記録の確認、血液検査、尿検査、心電図など、必要に応じて実施します。
  3. 治療方針のご提案:生活習慣の見直し(減塩・運動・睡眠・節酒)と、必要と判断される場合の薬物治療について、お一人おひとりのお体の状態に合わせてご提案します。薬を始める場合も、ご本人・ご家族のご意向をうかがった上で決めます。
  4. 経過観察:導入初期は2〜4週ごとに受診いただき、血圧・副作用(ふらつき、むくみ、頻尿など)・血液検査を確認しながら調整します。安定後は1〜3か月ごとの受診が一般的です。

期待できる効果と注意点

  • 適切な降圧治療により、脳卒中・心筋梗塞・心不全・慢性腎臓病の進行などのリスクが下がることが、多くの研究で報告されています。効果には個人差があります。
  • ARB・Ca拮抗薬とも、めまい、立ちくらみ、頭痛、むくみ(Ca拮抗薬に多い)、血清カリウム上昇(ARBに関連)、腎機能の一時的低下などが起こる場合があります。
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある方、重度の腎動脈狭窄がある方など、使用が推奨されない状況があります。
  • 他のお薬(一部のNSAIDs、利尿薬、免疫抑制薬など)との相互作用にご注意ください。

薬剤ごとに承認された効能効果は異なります。詳細は医師・薬剤師にお尋ねください。治療の効果や副作用の出方には個人差があります。治療方針の決定には、医師の診察・検査・説明を経た同意(インフォームド・コンセント)が必要です。

当院の特徴と対応範囲

当院では、内科外来において保険診療の範囲で高血圧の診察・血液検査・心電図・生活指導・薬物療法を提供しています。ご高齢の方については、他の持病・服用中のお薬・生活状況をふまえて、目標血圧と薬剤選択をご相談させていただきます。

以下に該当する場合は、専門的な評価が必要なため、地域の連携医療機関へご紹介します。

  • 若年での発症・急激な血圧上昇・治療抵抗性高血圧が疑われる場合(二次性高血圧の精査)
  • 重度の腎機能障害・電解質異常を伴う場合
  • 心不全・虚血性心疾患・大動脈疾患などの精査・治療が必要な場合

当院で高血圧の確定診断や専門的治療のすべてを行うものではありません。必要に応じて、循環器内科・腎臓内科・脳神経内科などを標榜する専門の医療機関と連携します。

費用について

高血圧の外来診療は公的医療保険の適用対象です。初診時は再診時より高くなるのが一般的です。処方内容・検査内容によって費用は変動します。詳細は受付でご確認ください(自由診療のご案内はありません)。

よくある質問

Q1. 血圧の薬を一度始めたら、一生やめられないのですか?
必ず一生続けるわけではありません。血圧の値・体重・生活習慣の改善状況・年齢・併存疾患を見ながら、主治医と相談の上で減量・中止を検討できる場合があります。自己判断で中止・変更はなさらないでください。

Q2. 「歳をとったら血圧は少し高いほうがよい」と聞きました。
かつてはそのような考え方も語られていましたが、近年の研究では高齢者でも過度に高い血圧は脳卒中・心不全・認知機能低下のリスクと関連すると報告されています。一方で、下げすぎによるふらつきや腎機能低下にも注意が必要です。目標値は個別に決めるのが基本です。

Q3. 家庭で測る血圧と、診察室で測る血圧、どちらを目安にすればよいですか?
一般に、家庭血圧のほうが日常の状態をよく反映するとされています。朝と就寝前に、決まった条件で測定した記録をお持ちください。

Q4. 家族が服用中のARBを、自分にも合うか試したいのですが。
他の方に処方されたお薬を服用することはお避けください。効果・副作用は年齢・持病・体格・他の服用薬によって大きく変わります。

Q5. どの受診科に行けばよいですか?
まずは内科またはかかりつけ医にご相談ください。当院内科でも対応します。専門的評価が必要と判断される場合は、循環器内科などへの紹介を行います。

早めの受診・救急受診の目安

早めの受診をご検討ください

  • 家庭血圧の平均値が高い状態が続いている
  • 服薬中にふらつき・立ちくらみが強くなった
  • 頭痛・動悸・むくみ・尿量の変化が続く

🚨 以下の症状がある場合は、自己判断せず、緊急時は 119番、または地域により利用可能な救急相談窓口(#7119等)をご活用ください(利用可否は地域により異なります)。

  • 急に片側の手足が動かなくなった、しびれた
  • 急に話しにくくなった、ろれつが回らない
  • 突然の激しい頭痛
  • 意識がもうろうとする
  • 胸痛、強い息切れ、冷汗を伴う

まとめ

  • 高齢の方の降圧薬の選択については、2026年に報告された観察研究など、判断材料となる知見が増えています。ただし、「どちらの薬が一律に優れている」ということではなく、薬剤選択は一人ひとりの状態を踏まえて主治医と決めることが基本です。
  • 血圧目標も、罹病期間・臓器障害・虚弱の程度をふまえた個別化が重要です。
  • 当院では、内科外来でご高齢の方の血圧管理をお手伝いし、必要に応じて専門の医療機関と連携します。
  • 自己判断での服薬中止・変更はなさらず、必ずかかりつけ医とご相談ください。

参考文献

  1. Journal of the American Geriatrics Society, オンライン 2026年4月26日
  2. J Am Heart Assoc, オンライン 2026年3月13日/STEP試験事後解析

※ 本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、医師による診断・治療の代わりとなるものではありません。実際の診断や治療方針は、症状・既往歴・服薬状況などを総合的に評価したうえで決定されます。気になる症状がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。

※ 治療の効果や経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。治療方針の決定には、医師の診察・検査・説明を経た同意(インフォームド・コンセント)が必要です。

関連記事

この記事の筆者・監修


加藤 公彦
メイトウホスピタル 理事長
日本循環器学会 循環器専門医/日本救急医学会 救急科専門医

専門分野である循環器内科の視点から、高血圧、心不全、虚血性心疾患などの診断・治療に従事。

医学的内容の最終確認日:2026年9月21日(監修:加藤公彦)

当院でのサポート体制について

メイトウホスピタル循環器内科では専門医が患者様に合わせた健康アドバイスを行っています。

ネット予約(対面診療)

初診の方でもインターネットからご予約を承っております。血圧やお薬に関するご相談は、原則として対面診療をご検討ください。

ドクターLINE

LINEは、予約や受診方法などのお問い合わせ窓口です。オンライン診療(状態が安定している方の継続診療等が対象)の予約お問い合わせも、LINEから『オンライン診療希望』とお伝えください。

LINE上で診断や緊急性の判断は行いません。緊急症状がある場合は、LINEへの連絡ではなく119番へ。

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スマートウォッチ心電図と心房細動  [2026.08.02更新]

日常の「気になる瞬間」を記録し、医療につなげるために

スマートウォッチで心拍を確認する男性のイラスト

メイトウホスピタル 内科 理事長 加藤公彦
日本循環器学会 循環器専門医/日本救急医学会 救急科専門医

40代、50代になると、健康診断で血圧やコレステロール、血糖値を気にする方が増えてきます。一方で、心臓のリズムを確認するのは年に一度の健康診断だけという方も少なくありません。

心房細動などの不整脈は、症状が出たり消えたりすることがあります。「会議中に少し動悸がした」「夜中に胸がドキドキした」——そのときは気になっても、受診する頃には症状が消え、心電図にも異常が映らないことがあります。

Apple Watchをはじめとする一部のスマートウォッチには、心拍リズムの変化に気づくきっかけをつくり、気になる症状があるときに心電図を記録できる機能があります。この記事では、こうした機能がどのような場面で役立つ可能性があるのか、通知が出たときの対応と受診の目安まで、循環器内科の視点からわかりやすくご紹介します。

なお、年齢だけを理由に、スマートウォッチの心電図機能を利用する必要があるわけではありません。また、当院は本記事で取り上げる製品の販売や購入のあっせんを行っていません。

※ 本記事は受診先選びの参考となる一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

この記事のポイント

  • スマートウォッチは、心房細動などの不整脈に気づくきっかけになることがあります
  • 動悸を感じたとき、その場で心電図を記録できる機種があります
  • 記録した心電図は、PDFとして医療機関に見せられる場合があります
  • 対応する心電図機能は日本で承認されたプログラム医療機器ですが、確定診断はできず、医師の診察や検査の代わりにはなりません
  • 対応機種・条件はメーカー公式サイトでご確認ください。購入を急ぐ必要はありません

健康診断だけでは捉えにくい変化

夜中に動悸を感じて胸に手を当てる男性のイラスト

健康診断の心電図は、とても大切な検査です。ただし、通常は短い時間の心電図を記録するため、検査を受けている間に不整脈が出ていなければ、異常が捉えられないことがあります。

例えば、次のような経験はないでしょうか。

  • ときどき脈が飛ぶように感じる
  • 急に胸がドキドキすることがある
  • 階段を上ったとき、以前より息切れを感じる
  • 夜中に動悸で目が覚める
  • 健康診断では異常なしと言われたが、何となく気になる
  • 家族に心房細動や脳梗塞になった人がいる

こうした症状がすべて心臓病を意味するわけではなく、現れ方には個人差があります。しかし、症状が出た日時や持続時間、そのときの心拍数や心電図記録が残っていれば、診察時に状況を具体的に伝えやすくなります。

「症状は消えた。でも記録は残った」

仕事中の会議で突然、胸がドキドキしたとします。数分後には治まり、受診する頃には症状もなく、心電図も正常だった。以前なら「疲れていただけかもしれない」で終わっていたかもしれません。

心電図機能に対応した機種で、症状があるときに記録を残せれば、後日、医師にその情報を見せられる可能性があります。記録だけで診断が決まるわけではありません。それでも、いつ起こったのか/どのくらい続いたのか/そのときの心拍数/規則正しい脈だったのか/動悸・息切れ・めまいを伴っていたのか——といった情報は、追加検査が必要かどうかを考える際に、医師が参考情報の一つとして確認する場合があります。

スマートウォッチ心電図でできること

スマートウォッチとスマートフォンの心電図アプリの表示イメージ

Apple Watchを例にすると、対応機種や設定によっては次の機能を利用できる場合があります(対応機種・OS・利用条件はApple公式サイトでご確認ください。心電図Appは一部機種では利用できず、22歳未満は対象外です。確認日2026-08-02)。

不規則な心拍を通知する

安静にしている時間などに心拍リズムを確認し、心房細動を示唆する不規則な心拍リズムが繰り返し認められた場合に通知することがあります。常時監視ではなく、すべての不整脈を見つけられるわけでもありません。それでも、自覚症状がない変化に気づくきっかけになることがあります。

気になるときに心電図を記録する

心電図機能に対応した機種では、装着した状態で操作をすると短時間の心電図を記録できます。結果は「洞調律」「心房細動」「高心拍数」「低心拍数」「判定不能」のように分類される場合があります(表記は機種・バージョンで異なることがあります)。

分類結果は確定診断ではありません。「心房細動」と分類されても医療機関での確認が必要です。一方、「洞調律」と表示されても、すべての心臓病が否定されるわけではありません。

記録を医師に見せる

記録した心電図は、スマートフォンの対応アプリから確認し、PDFとして書き出せる場合があります。診察時に画面を見せたり、印刷して持参したりすることで、状況を伝えやすくなります。「動悸はあったが、どのくらい速かったか分からない」という場合でも、記録が残っていれば診察の参考情報になる場合があります。

医療機器でも、確定診断はできません

Apple Watchの心電図Appと不規則な心拍の通知機能は、日本で承認されたプログラム医療機器です。ただし、「医療機器として承認されていること」と「それだけで診断できること」は別です。

期待できること表示結果だけでは判断できないこと
心拍の変化に気づくきっかけをつくる心房細動を確定診断する
症状があるときの心電図を記録するすべての不整脈を検出する
心拍数や測定日時を記録として残す心筋梗塞や脳梗塞を診断する
記録を医療機関へ持参する医師の診察や検査の代わりになる
受診を考えるきっかけにする通知がないことを理由に病気を否定する

医師は、症状、既往歴、服用薬、診察所見、医療機関での心電図検査などを総合して判断します。スマートウォッチの表示結果だけで治療を開始することはありません。

【重要なこと】ご自宅や職場、スポーツジムなどで血圧を測定していると血圧計によっては「脈不整」とか、「不整脈の疑い」といったアラートメッセージが出る場合があります。その場合は必ず医師にご相談下さい。

40〜60代で意識したいこと

40代以降は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、睡眠時無呼吸などが増えてくる年代です。これらは心房細動などの不整脈とも関係することがあります。

心房細動は、脈が不規則になる代表的な不整脈です。強い動悸を感じる人がいる一方で、ほとんど自覚症状がない人もいます(個人差があります)。心房細動が続くと、脳梗塞や心不全などのリスクと関連することが知られています。

大切なのは、怖がることでも、機器を急いで購入することでもありません。血圧・体重・睡眠・運動、そして心拍の変化に関心を持つことです。健康管理は、病気になってから始めるものではありません。

循環器内科医師の視点から

医師が心電図の記録を患者に説明する診察室のイラスト

循環器診療では、患者さんが診察室で話してくださる「いつ、どこで、どのような症状があったか」が非常に重要です。しかし、突然の動悸や脈の乱れは、症状が出たときに医療機関で心電図を記録できるとは限りません。

こうした機器の位置づけは、病気を自動的に見つけてくれる道具ではなく、気になる瞬間を、記憶だけでなく記録として残せる可能性がある道具です。生活の中で記録された情報は、診察時の参考情報となる場合があります。私の患者さんでも日頃のご自宅での毎日の血圧計測定やスマートウォッチでの異常検出がきっかけで、心房細動などの不整脈が見つかった方が何人もいらっしゃいます。

利用前に確認したいこと

次のような方は、機能や使い方を調べてみる価値があるかもしれません。

  • ときどき動悸や脈の乱れを感じる/症状があるのに受診時には治っている
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症などを指摘されている
  • 家族に心房細動や脳梗塞になった人がいる

ただし、いま症状がある方は、機器の購入よりも医療機関への相談が優先です。機器を持つことと、必要な診察を受けることは別の問題です。

機種によって心電図機能や通知への対応状況、必要なスマートフォンの条件、利用地域・年齢条件は異なります。対応状況・設定方法はメーカー公式サイトでご確認ください。また、健康データを続けて記録するには毎日無理なく装着できることが大切です。画面の見やすさや装着感には個人差があるため、実物を確認したうえで、ご自身に必要かどうかを判断してください。

通知や「心房細動」の表示が出たら

慌てて自己判断する必要はありません。次の3つを意識してください。

STEP1.日時と症状を残す

通知が届いた日時/動悸・息切れ・胸の違和感・めまいの有無/症状がどのくらい続いたか/運動中・飲酒後・睡眠中などの状況——を記録します。

STEP2.可能なら心電図を記録する

心電図機能に対応している場合は、安静にして測定します。ただし、強い胸痛、強い息切れ、失神、麻痺などがある場合は、測定よりも救急要請を優先してください。

STEP3.記録を医療機関へ持参する

心電図のPDFや画面だけでなく、服用中の薬/高血圧・糖尿病・心臓病などの既往歴/飲酒や喫煙の状況/家族の心房細動や脳梗塞歴——も伝えると、診察の参考になります。

すぐに119番が必要な症状

次の症状がある場合は、通知や測定結果を確認し続けず、ただちに119番へ連絡してください。

  • 強い胸の痛み、圧迫感、締め付け感
  • 強い息切れ
  • 失神、意識がもうろうとする
  • 片側の手足が動かない、しびれる
  • ろれつが回らない
  • 突然の激しいふらつき

ここに挙げた症状がすべてではありません。急速に悪化する症状や、これまでに経験のない強い異常感がある場合も、ためらわず119番へ。スマートウォッチは心筋梗塞や脳梗塞を検出できません。緊急症状がある場合は、表示内容にかかわらず救急対応が優先です。

医療機関を受診する目安

ためらわず119番強い胸痛、強い息切れ、失神、麻痺、ろれつが回らないなどの緊急症状があるとき
早めに対面受診初めての動悸、繰り返す動悸、心房細動を示唆する通知、症状を伴う表示が出たとき
記録を持参して相談症状はないが通知や分類結果が気になるとき。かかりつけ医・循環器内科・当院外来へ

救急車を呼ぶべきか・すぐ受診すべきか判断に迷う場合は、名古屋市内に在住・滞在中の方は救急安心センターなごや(#7119、つながらない場合は052-951-7119)に相談できます。

よくある質問

Q1.着けていれば、心房細動を必ず見つけられますか?

いいえ。不規則な心拍の通知は常時監視ではなく、すべての心房細動や不整脈を検出するものではありません。通知がなくても、動悸、息切れ、めまいなどが続く場合は医療機関に相談してください。

Q2.「心房細動」と分類されたら、心房細動で間違いありませんか?

確定診断ではありません。医療機関での問診、心電図、必要に応じて長時間の心電図記録や心臓超音波検査(心エコー)などによる確認が必要です。

Q3.「判定不能」と表示されました。異常でしょうか?

判定不能は、測定時の動き、装着状態、心拍数の範囲、別の種類の不整脈などで表示されることがあります。繰り返す場合や症状を伴う場合は、記録を持参して医療機関へ相談してください。

Q4.スマートウォッチがあれば、健康診断の心電図は不要ですか?

必要です。スマートウォッチと医療機関の心電図検査は、目的や記録方法が異なります。健康診断や医師から指示された検査は、これまでどおり受けてください。

Q5.動悸があるので、まず機器を買うべきでしょうか?

症状がある場合は、購入を検討する前に医療機関へ相談してください。動悸が長く続く、胸痛、息切れ、強いふらつきを伴う場合はなおさらです。

見守りの基本は生活習慣と診察

心臓の健康を守る基本は、日々の生活習慣と定期的て診察です。

  • 血圧を管理する
  • 糖尿病や脂質異常症を放置しない
  • 過度な飲酒を避ける/禁煙する
  • 適正体重を意識する
  • 睡眠不足や睡眠時無呼吸に注意する
  • 無理のない運動を続ける
  • 健康診断を受ける

スマートウォッチは、これらを置き換えるものではありません。日常の健康管理を続けるための道具の一つとして考えることが大切です。

当院でご相談いただけること

当院では、保険診療の範囲で内科外来を行っています。スマートウォッチに保存された心電図や通知の記録がある場合は、診察時にご提示ください。

  • 症状や発生状況の確認/既往歴・服用薬の確認
  • 安静時心電図などの基本的な検査
  • 診察結果に応じて、長時間心電図や心臓エコー(心臓超音波検査)などの実施・紹介を検討します
  • カテーテルアブレーションなど、当院で実施していない専門的治療が必要な場合は、連携医療機関へご紹介します

初めて出た動悸・繰り返す動悸・心房細動を示唆する通知については、原則として対面受診をご検討ください。オンライン診療は、状態が安定している方の継続診療などが対象で、症状により対面診療をご案内する場合があります。

受診先は当院に限りません。かかりつけ医や近隣の循環器内科へご相談いただいても構いません。

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この記事の筆者・監修


加藤 公彦
メイトウホスピタル 理事長
日本循環器学会 循環器専門医/日本救急医学会 救急科専門医

専門分野である循環器内科の視点から、高血圧、心不全、虚血性心疾患などの診断・治療に従事。

医学的内容の最終確認日:2026年8月2日(監修:加藤公彦)

当院でのサポート体制について

メイトウホスピタル循環器内科では専門医が患者様に合わせた健康アドバイスを行っています。

ネット予約(対面診療)

初診の方でもインターネットからご予約を承っております。動悸や通知に関するご相談は、原則として対面診療をご検討ください。

ドクターLINE

LINEは、予約や受診方法などのお問い合わせ窓口です。オンライン診療(状態が安定している方の継続診療等が対象)の予約お問い合わせも、LINEから『オンライン診療希望』とお伝えください。

LINE上で診断や緊急性の判断は行いません。緊急症状がある場合は、LINEへの連絡ではなく119番へ。

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参考文献

注意事項

  • 本記事は、ウェアラブル機器と健康管理に関する一般的な情報提供を目的としています。特定の製品について、有効性や安全性を保証したり、購入を一律に推奨したりするものではありません。当院は本記事で取り上げる製品の販売・購入あっせんを行っていません。
  • 心電図機能や通知の対応機種、対応OS、利用地域、年齢条件などは変更される場合があります。購入や設定の前に、メーカー公式サイトの情報をご確認ください。
  • 通知や心電図の分類結果は医学的な確定診断ではありません。症状がある場合や、結果が気になる場合は、医療機関へご相談ください。
  • 本記事の内容は、公開時点の情報に基づいて作成しています(機器仕様の確認日:2026年8月2日)。
夏の高血圧対策|血圧変動と水分・減塩の注意点  [2026.08.02更新]

メイトウホスピタル 内科
日本循環器学会 循環器専門医
日本救急医学会 救急科専門医
理事長 加藤公彦

「冬にくらべて夏は血圧が下がるから、薬を減らしても大丈夫では?」――外来でこのようなご質問をいただくことがあります。たしかに血圧は一般に冬に高く、夏に低くなる傾向がありますが、発汗による脱水や生活の変化が重なると、夏でも血圧や体調が変わることがあります。

この記事では、夏に血圧が変わりやすい理由と、ご家庭でできる水分・減塩の工夫、そして「お薬の調整は自己判断でよいのか」という疑問について、内科の視点でわかりやすくご紹介します。

※ 本記事は受診先選びの参考となる一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

夏の血圧と季節性について

血圧は季節によって変わりやすく、一般に冬は高め・夏は低めになりやすい傾向が知られています。気温が上がると体は熱を逃がすために血管を広げ、また汗で水分が失われるため、血圧は下がる方向に働きやすいと考えられています。

ただし「夏は下がるから大丈夫」とは限りません。発汗による脱水、食事量の低下、降圧薬や利尿薬の使用などが重なると、普段より血圧が低くなったり、体調の変化が生じたりすることがあります。その現れ方には個人差があります。

夏に血圧が変わりやすい理由(簡潔に)

  • 発汗による脱水:汗で体の水分が失われ、水分バランスが変化します
  • 血管の拡張:暑さで血管が広がると、血圧は下がる方向に働きやすくなります
  • 生活の変化:暑さによる食事量の低下、冷たい麺類や外食への偏り、飲酒の機会増加など
  • お薬の影響:降圧薬・利尿薬を服用中の方は、脱水と重なると血圧が下がりすぎることがあります。実際に、夏の熱中症・脱水症を起こしやすい薬の上位には、降圧剤・利尿剤がランクインしています

これらの影響の出方は、年齢・持病・服用中のお薬によって異なります。

なぜ今、注意が必要か

気候の要因

  • 熱帯夜の連続:夜間も気温が下がらないと、就寝中に汗をかいて脱水が進みやすくなります
  • 急に暑くなる日:体が暑さに慣れていない時期は、同じ気温でも体への負担が大きくなることがあります
  • 暑さ指数(WBGT):環境省が地域別に公表する指標です。目安として「厳重警戒」(28以上31未満)の日は炎天下を避け、「危険」(31以上)の日は外出自体をなるべく控えることが推奨されています。名古屋地点の当日の数値は環境省の熱中症予防情報サイトで確認できます

生活・お薬の要因

  • 「夏は血圧が低いから」と自己判断でお薬をやめたり減らしたりすると、かえって血圧が不安定になる場合があります。お薬の調整は必ず医師にご相談ください
  • 降圧薬・利尿薬を服用中の方は、大量に汗をかいた日の水分・塩分のとり方を、あらかじめ主治医に確認しておくことが役立ちます

自分でできる予防・セルフチェック

ご自身の体力・持病・お薬に応じて、無理のない範囲でお試しください。心臓・腎臓・血圧の持病で水分や塩分の制限がある方は、必ず主治医の指示を優先してください。

水分のとり方

  • 喉の渇きを感じる前に、目安としてコップ1〜2杯程度を目安に、時間を決めて水分を摂ることが役立つ場合があります(適切な量は体格・持病・お薬により異なります)
  • 飲酒は水分補給にはなりませんので、「冷たいビールで熱中症対策」は無理です。アルコールには利尿作用があります。ビールを飲むとトイレが近くなりますよね?
  • また、カフェインを多量に含む飲み物に偏るのは避け、水や麦茶・ルイボスティーなどノンカフェインがおススメです

塩分のとり方(夏も減塩が基本です)

  • 通常の日常生活で3食をとれていれば、熱中症予防のために塩分を追加する必要は通常ありません。高血圧の方は、夏も主治医から指示された減塩を続けてください
  • 炎天下での作業や激しい運動などで大量に汗をかいた場合に限り、一時的に水分と塩分の補給が必要になることがあります。高血圧・心不全・腎臓病のある方や利尿薬を服用中の方は、具体的な補給方法をあらかじめ主治医に確認してください
  • スポーツドリンクや経口補水液には塩分・糖分が含まれます。日常の水分補給として常用するものではありません(OS1などの経口補水液は脱水時に用いることを想定した飲料です)
  • 日常の水分補給にはミネラルウォーターや麦茶・ルイボスティーなどがおススメです
  • だし・酸味・香辛料・香味野菜を使うと、塩分を抑えても味が物足りなくなりにくくなります。冷たい麺類のつゆ・加工食品・外食は塩分が多くなりやすいため、頻度や量を意識しましょう

室内環境と家庭血圧の測り方

  • 冷房の使用をためらわず、屋外との急な温度差をなるべく小さくします。室内温 28〜29度程度が良いですね
  • 家庭血圧は毎日同じ条件で:朝(起床後1時間以内・排尿後・お薬を飲む前・座って1〜2分安静にしてから)と夜(就寝前や夕食後)に、原則2回ずつ測って平均を記録します(測定方法の詳細は受診時にご確認ください)
  • 記録は受診時にお持ちください。季節による変化をふまえた相談がしやすくなります。しっかりと記録を取って、かつ天気予報での気温を見比べると、気温が高くなると血圧が下がることがよく分かります。逆に冬には血圧が高くなることもよく分かります(冬の気温と血圧の関係:あなたの健康を守るため)

セルフチェック(下記に思い当たれば要注意)

  • ☐ 立ち上がったときに強いめまい・ふらつきがある
  • ☐ 同じ条件で測った家庭血圧が、普段と違う状態が数日続いている
  • ☐ だるさ・頭痛・動悸を感じる日が続く
  • ☐ 汗を多くかいた日に体調を崩しやすい

これらのサインが続く場合は、お薬の効き方や水分・塩分のバランスを見直す必要があるかもしれません。次の受診の目安をご確認ください。また、熱中症・脱水症の初期症状の時があります。

こんなときは医療機関へ

受診のタイミングを3つに分けてご案内します。

🚨 直ちに119番へ

次の症状が突然現れた場合は、ためらわず119番へ連絡してください。

  • 突然、片側の手足や顔が動かしにくくなった
  • 突然、言葉が出ない、ろれつが回らない
  • 突然の激しい頭痛
  • 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応がおかしい
  • 強い胸痛、息苦しさ、冷汗

明らかな緊急症状はないものの、救急車を呼ぶべきか・すぐ受診すべきか判断に迷う場合は、名古屋市内に在住・滞在中の方は救急安心センターなごや(#7119、つながらない場合は052-951-7119)に相談できます。

当日中に相談・受診をご検討ください

  • 失神した、転倒しそうになるほどの強いふらつきがある
  • 水分がとれない、嘔吐が続く
  • めまい・頭痛・動悸などの症状を伴って、血圧が普段と大きく違う

近日中に外来でご相談ください

  • 同じ条件で測った家庭血圧が、普段と違う状態が数日続いている(測り直しても続く場合)
  • 夏場のお薬の調整・水分や塩分のとり方について相談したい

受診の要否に迷う場合も、まずは外来にてご相談ください。

当院からのお知らせ

当院では、循環器内科の外来診療を通じて、高血圧をはじめとする生活習慣病の管理のご相談を受けています。夏には、脱水や暑さに関連した体調の変化について、ご相談を受けることがあります。

降圧薬・利尿薬を服用中の方は、夏場の水分・塩分のとり方やお薬の調整について、自己判断せず外来でご相談ください。お薬の変更・調整は、診察のうえ個別に判断します。家庭血圧の記録をお持ちいただくと、季節による変化をふまえた話し合いがしやすくなります。

医師が診療上必要と判断した検査は、原則として保険診療で行います(検査内容や自己負担額は個別に異なります)。専門的な評価や治療が必要な場合は、専門医療機関へのご紹介を行います。

加藤公彦からのメッセージ

「夏は『血圧が下がるから大丈夫』と思われがちですが、脱水や生活の変化で体調が変わりやすい季節です。お薬を飲んでいる方ほど、自己判断での増減は避け、家庭での血圧測定を続けて、気になる変化があれば早めにご相談いただければと思います。」

まとめ

  • 血圧は一般に冬に高く夏に低くなる傾向がありますが、脱水や生活の変化で夏も血圧や体調が変わることがあります(現れ方には個人差があります)
  • 夏も減塩が基本です。通常の生活では塩分の追加は通常不要で、大量発汗時に限り一時的な水分・塩分補給を検討します(持病のある方は主治医の指示を優先)
  • 「夏だから」と自己判断でお薬を減らさないこと。調整は必ず医師にご相談ください
  • 片側の手足が動かない・ろれつが回らない・突然の激しい頭痛・強い胸痛などが突然現れたら、ためらわず119番。判断に迷うときは #7119(名古屋市内、つながらない場合は052-951-7119)へ

 

この記事の筆者・監修


メイトウホスピタル 理事長 加藤 公彦
日本循環器学会 循環器専門医/日本救急医学会 救急科専門医
毎週火曜日・水曜日 外来担当

専門分野である循環器内科の視点から、高血圧、心不全、虚血性心疾患などの診断・治療に長年従事。生活習慣病の早期発見と予防医療に尽力している。

当院でのサポート体制について

メイトウホスピタル循環器内科では専門医が患者様に合わせた健康アドバイスを行っています。

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年末年始の診療について  [2025.12.03更新]

年末年始外来診療・オンライン診療の休診につきまして、下記の通りとなります。

 

2025年12月27日(土) 午後 ~ 2026年1月4日(日) 休診

 

新年は1月5日(月)より通常診療を開始します。

ご了承の程、お願い申し上げます。

 

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