メニュー

早めの治療開始が大切!パーキンソン病の早期診断と治療

[2021.02.17]

齋木 英資監修:齋木 英資
(愛知医科大学パーキンソン病総合治療センター教授)

パーキンソン病では早期の治療の開始が重要です。早期にパーキンソン病の治療を開始できるかどうかはその後の生活の質や予後にも大きな影響を与えます。この記事では、パーキンソン病の概要と早期診断・治療の重要性について解説していきます。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、脳の中の神経の伝達物質であるドパミンを作る細胞(ドパミン神経細胞)が減ってしまうために起こる病気です。ドパミンが減ることで手足の震えや動作の鈍さ、歩きにくさなどのパーキンソン病特有な症状が出現します。

日本におけるパーキンソン病患者は1000人に1人〜1.5人程度であり、60歳以上では、1000人に10人程度と、高齢になるとともに発症率は高くなります1)。一方40歳未満で発症することもあり、若年性パーキンソン病と呼ばれます。

最近では、パーキンソン病の治療が進歩し、早期に治療を開始することやリハビリテーションを続けることで発症後も長い間普通の生活ができるようになってきています。また現在も様々な研究が行われており、今後根治的な治療が確立されることも期待されています。

パーキンソン病の4大症状

パーキンソン病の代表的な症状は4大症状と呼ばれています。

ふるえ (振戦)

動作が鈍い・少ない (動作緩慢)

筋肉が硬い・凝る (筋固縮)

ちょこちょこ歩き・前屈み
(姿勢・歩行障害)

パーキンソン病早期診断・治療の重要性

パーキンソン病では現在のところ根治療法がなく、治療の目的はパーキンソン病の症状を軽減し、患者さんの日常生活における動作や生活の質を維持・改善することとなります。よって、パーキンソン病では、早期にパーキンソン病の診断を受け、適切な治療を開始することが重要です。

さらに、以下の点からもパーキンソン病では早期の診断・治療開始が重要と考えられています。

  • 以前はパーキンソン病では治療開始を遅らせるべきとの考えがありましたが、近年行われた様々な研究によりパーキンソン病に対する早期治療の有用性が示されている2)3)
  • 発症初期のパーキンソン病では症状が軽度であることが多く、ほとんどの薬剤が症状軽減に有効であることが多い
  • 治療開始が遅れると、体の運動機能の障害が進行してしまい、元の状態に戻すことが難しくなる

パーキンソン病診断直後の治療

パーキンソン病はドパミンが欠乏して発症するため、治療に使われる薬剤は、ドパミンの機能を補う機能を有するものとなります。

パーキンソン病の治療薬は大きく3つの種類に分類されます。

  1. 不足するドパミンの原料となるL-ドパ(レボドパ)
  2. ドパミンの作用を補いパーキンソン病の症状を緩和するドパミンアゴニスト
  3. ドパミン欠乏により生じた機能の異常をドパミンとは異なる仕組みで補う非ドパミン系治療薬

パーキンソン病診断直後の患者さんでは、治療薬として、L-ドパかドパミンアゴニストで開始されることが多いです。どちらの薬剤でも効果がしっかりと確認できるまで増量することが一般的です。病状に応じてL-ドパとドパミンアゴニストを組み合わせて治療することもあります。

また、運動やリハビリテーションも大切です。適切に治療しながら運動やリハビリテーションに継続して取り組むことで、体の動きがよくなる患者さんが多くいらっしゃいます。

その後は、症状に合わせて様々な薬剤を組み合わせながら治療を行うこととなります。

動画解説(かんたん教室)

動画でもパーキンソン病の簡単解説しております。本ページのパーキンソン病の概要と早期診断・治療の重要性の記事と合わせてご確認ください。

▼パーキンソン病かんたん教室(その1)

▼パーキンソン病かんたん教室(その2)

▼パーキンソン病かんたん教室(その3)

▼パーキンソン病かんたん教室(その4)

終わりに

自分や周りの大切な人がパーキンソン病かもと思った時の不安は計り知れないと思います。ですが、上記でお伝えしたようにパーキンソン病では早期の診断と治療の開始が非常に重要で、その後の生活に大きな影響を与えます。

実際にパーキンソン病の治療を早期に開始したことで、パーキンソン病と上手く付き合いながら仕事を継続している方も多くいらっしゃいます。

不安に感じることがあれば、迷わず神経内科の先生がいる施設に相談してみてください。親身にサポートしてくれると思います。

次の記事では、パーキンソン病が疑われる症状や診断基準などについても詳しく紹介していきたいと思います。

診療予約方法

メイトウホスピタルでは、パーキンソン病のご相談・お問い合わせを受け付けております。以下の画像リンクからご相談いただくことができます。

また、お電話・受付でもご相談いただくことができます。「パーキンソン病診断(治療)を希望」とお伝えください。

電話:052-701-7000(平日9:00~17:30、土曜日9:00~12:30)

詳細はこちらでもご案内させていただいております(パーキンソン病外来開始のお知らせ)。

参考文献・情報
  1. 難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/169
  2. Parkinson Study G. A controlled, randomized, delayed-start study of rasagiline in early Parkinson disease. Arch Neurol. 2004 Apr;61(4):561-6.
  3. Olanow CW, Rascol O, Hasuer R, et al. A double-blind, delayed-start trial of rasagiline in Parkinson's disease. N Engl J Med. 2009 Sep 24;361(13):1268-78.
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME