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パーキンソン病との違いに注意!パーキンソン病類似疾患:パーキンソン症候群とレビー小体認知症

[2021.02.17]

齋木 英資監修:齋木 英資
(愛知医科大学パーキンソン病総合治療センター教授)

パーキンソン病では早期診断、治療の開始が重要です。一方で、診断に際してはパーキンソン病の類似疾患(パーキンソン病と似ているが異なる病気)との見極めが必要であり、専門家でも難しいことがあります。今回は、パーキンソン病の類似疾患であるパーキンソン症候群やレビー小体認知症を解説していきます。

パーキンソン症候群とは?

パーキンソン病は、脳の中の神経の伝達物質であるドパミンを作る細胞(ドパミン神経細胞)が減ってしまうために起こる病気です。しかし、ドパミンが欠乏する病気はパーキンソン病の他にもあります。

「ドパミンが欠乏していてもパーキンソン病ではない病気」をまとめてパーキンソン症候群と呼びます。

パーキンソン症候群には、①脳細胞の病気②脳細胞以外の病気・症状が含まれます。

① パーキンソン病に似た脳細胞の病気

多系統萎縮症

ドパミン欠乏に加えて、自律神経が障害される病気。立ちくらみや失神発作、排尿障害、睡眠中のいびきや無呼吸などの症状が特徴。

進行性核上性麻痺

脳幹の神経細胞が減少する病気。早期からのすくみ足や後ろ向きに転びやすいことが特徴。進むと目の動きが悪くなり、認知機能が低下する。

大脳皮質基底核変性症

パーキンソン病の症状と大脳皮質の症状が見られる病気。片方の手足が固まったり、単純動作は出来ても複雑な動作が出来ない、意図通りにならないといった症状が特徴。

② 脳細胞以外の病気・症状

脳卒中

加齢などによって血管がもろくなり(動脈硬化)、血管が詰まったり(脳梗塞)、出血して(脳出血)脳が障害されて起こる病気。

薬剤性

薬がドパミンの働きを妨げることでパーキンソン病に類似した症状が起こる病態。抗精神病薬などで発生しやすい。

パーキンソン症候群の可能性がある場合の特徴

脳梗塞については画像による診断が可能であり、薬剤性についても薬の服用歴が参考になりますが、その他のパーキンソン症候群とパーキンソン病の区別は非常に難しいです。しかし、一般的にパーキンソン症候群はパーキンソン病と比べて以下の特徴を有しています。

  1. 症状が左右対象もしくは極端な左右の違いがある
  2. 進行が早い、早期から転倒する
  3. 早期から認知機能障害や強い自律神経症状(立ちくらみ、排尿障害など)を伴う
  4. パーキンソン病治療薬(主にL-ドパ)の効きが悪い

パーキンソン病とパーキンソン症候群との見極めは初期の段階では非常に難しいので、日頃の症状の変化や上記の症状に気づいた場合などは主治医の先生と共有しましょう。また非専門の先生の診察を受けている場合は、脳神経内科などの専門の先生へ相談することも有益です。

レビー小体認知症とは?

レビー小体認知症は、パーキンソン病と非常に近い関係にある病気です。

「レビー小体」は、脳細胞の中に生じた特殊なたんぱく質です。このレビー小体が出現するのは、パーキンソン病とレビー小体認知症です。

レビー小体認知症の可能性がある場合の特徴は?

レビー小体認知症の特徴は、認知機能の低下と幻覚や妄想などの精神症状です。動作が鈍くなることや歩きにくさなども同時に現れるか、後から現れます。パーキンソン病が体の症状から起こり、その後認知機能の低下や精神症状が現れるのに対し、レビー小体認知症では、先か同時に認知機能の低下や精神症状が現れるのが特徴となります。

終わりに

この記事ではパーキンソン病の類似疾患である、パーキンソン症候群やレビー小体認知症について解説しました。

パーキンソン病では早期診断が重要ですが、パーキンソン病とパーキンソン症候群やレビー小体認知症との区別は専門家でも非常に難しいと言われています。

しかし、パーキンソン病と類似疾患では、治療や生活上の対処は異なります。日頃の症状を注意深く観察し、気づいたことがあれば主治医に情報を共有し、適切な診断・治療につなげましょう。

また次の記事では、パーキンソン病患者体験談〜若年性パーキンソン病発症から現在に至るまで〜について詳しく解説していきたいと思います。

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