胃がんとピロリ菌:その関係とリスクをご存知ですか?
日本人の胃がんの多くはピロリ菌が原因です。菌が長くすみつくと慢性胃炎が進み、胃粘膜がやせ細って(萎縮)、がんができやすい土壌になります。薬で除菌すれば炎症は治まり胃がん予防につながりますが、すでに萎縮が強い方ではリスクが完全には消えません。これを除菌後の胃がんリスクと呼び、定期検査が大切です。
基礎疾患による胃がんのリスク
リスクは基礎疾患で差が出ます。15万人を10年追った国内研究では、十二指腸潰瘍だった人の胃がん発症は0.2%、胃潰瘍や萎縮性胃炎の人は0.5%と約2倍高めでした。胃酸が多い十二指腸潰瘍型は萎縮が軽く、胃潰瘍型は萎縮が進んでいるためです。この違いが「胃潰瘍と胃がん」の関係を裏付けます。
ピロリ菌について
50~60代は幼少期の衛生環境から感染率が高い世代。まずは胃カメラや尿素呼気試験などでピロリ菌を調べ、陽性なら早めに除菌しましょう。治療は1週間の飲み薬で8~9割が成功。副作用は軽い下痢や味覚異常が一時的に起きる程度で、多くの人が問題なく終えられます。治療~除菌までの費用は保険適用となり、自己負担は数千円ほどです。
ピロリ菌除菌後のポイント
除菌後こそ行動が大切。
①胃潰瘍・萎縮が強かった人は年1回の内視鏡
②十二指腸潰瘍型や萎縮軽度の人は2~3年に1回でもOK
③タバコ・塩分・過度の飲酒は控える
④家族歴がある場合は早め・こまめに検査
これらが再発見リスクを減らすポイントです。胃がんは早期なら内視鏡だけで治癒が望めますから、「ちょっと面倒でも検査を受ける勇気」が命を守ります。胃痛や黒い便など自覚症状が出たときはすでに進行していることもあるので、無症状の段階で検査を受けることが重要です。
さいごに
最後にもう一度キーワードを。ピロリ菌は発がん因子、胃がん予防には早期除菌と内視鏡、除菌後の胃がんリスクは萎縮の程度で変わる、そして胃潰瘍と胃がんは切っても切れない関係。ぜひ今日からご自身の胃と向き合い、主治医と二人三脚で健康な未来を目指しましょう。迷ったときは消化器専門医に相談し、会社や自治体の健康診断も積極的に活用してください。
監修:春日井邦夫
愛知医科大学元消化管内科教授
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