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高血圧と運動療法

[2023.10.30]

高血圧では食事の改善とともに運動も強く勧められています。今回は高血圧患者さんにとって運動が有益な理由や推奨される運動の強度、留意点などについて紹介します。

 

高血圧に対する運動の効果

高血圧に対して運動は多面的に効果があると考えられています。まず、直接的に血圧を下げる効果が複数の試験で認められており、運動によって収縮期の血圧が2-5mmHg、拡張期の血圧が1-4mmHg低下することが期待されると報告されています。1)

 

さらに運動は高血圧患者で合併することの多い2型糖尿病の発症抑制や血清脂質の改善などにつながることに加え2)、運動量が低下すると、脳心血管病の発症頻度が増加するとの報告もあります。3)

 

このように、高血圧に対する運動は、血圧を下げるのみならず、合併症の予防にも効果があることがお分かりいただけるかと思います。

 

推奨される運動の強度・激しさ

ではどのような運動が勧められるのでしょうか。一般的には早歩きやジョギング・ランニングなどの「ややきつい」と感じる程度の運動強度が推奨されています。

言い換えると激しすぎない運動というのが一つのポイントとなります。高血圧で強度が高い運動が勧められていない理由としては、激しい運動を行うと、血圧が顕著に上がる可能性があるからです。

 

また運動後にも血圧の上昇につながるアンジオテンシン系の活性化が生じる可能性もあることから危険とされています。

 

この点については高血圧の重症度に応じて大きく異なるため、主治医の先生と相談しましょう。

 

有酸素以外の運動

有酸素運動に加えて筋力を維持するためのレジスタンス運動やストレッチを取り入れることも大切と考えられています。レジスタンストレーニングとは、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行うような運動のことで、腕立て伏せやスクワット、ダンベル体操などが該当します。

 

一方ストレッチは筋肉などを伸ばす運動のことです。

レジスタンス運動やストレッチは、それぞれのみを行うのではなくジョギングなどの有酸素運動と合わせて行うことが勧められています。

 

運動の時間・頻度

運動の時間・頻度としては、定期的に行うことが勧められており、毎日30分程度以上または週180分以上の運動が目安とされています。

その理由は、血圧は一時的な運動の直後から4-5mmHG低下し、その後22時間くらい高圧作用が続くという報告があるからです。4)

他方、有酸素運動と比べてより負荷が高い運動を組み合わせた方が脳新血管病の発症を減少させるとの報告もあり、運動の種類や強度については今後の研究が期待されます。

 

運動を行う上での留意点

高血圧の重症度がII度以下で脳心血管病のない患者さんが運動療法の対象となります。そしてIII度高血圧を超える方では、まず薬物治療などで血圧を下げた後に運動を行うことが推奨されます。

また先ほども記載しましたが、強度が高すぎる運動を行うと、血圧が顕著に上がることがあることからウォーミングアップを行うことや運動の負荷を調整しながら運動をしましょう。

 

参考文献:

(1) https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/01.cir.0000437740.48606.d1
(2) https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/1471-2458-13-813
(3) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3926651/
(4) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11689735/

さいごに

この記事では高血圧の運動について紹介しました。高血圧に対して運動は降圧作用に加えて合併症予防につながることからと重要と考えられています。運動の種類や強度に関して毎日の定期的な運動が勧められます。ぜひ自分に合う運動を日々の生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか?
メイトウホスピタル循環器内科ではEPA/DHAの血中濃度測定(健康保険適応あり)とその結果に基づく健康アドバイスを行っています。  

 

 

 

 

メイトウホスピタル 循環器内科 加藤公彦
(毎週火曜日・水曜日外来担当)

 

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参考ページ

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