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健康を守る飲酒術を身に着けよう:あなたの飲酒ガイド

[2024.04.04]

健康意識の高まりとともに、お酒の上手な楽しみ方が求められています。適量の飲酒はリラックスやコミュニケーションに役立ちますが、その一方で飲み過ぎは健康リスクを招きます。「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン※1」を踏まえ、個々に合った飲酒の仕方を探りましょう。

 

健康に配慮した飲酒量を知る

健康を守るためには、飲酒の量を適切に管理することが鍵です。純アルコール量を意識し、自分が摂取しているアルコールの量を把握しましょう。 純アルコール量とは、お酒に含まれるアルコールの量をgで表したもので、以下の式で計算できます。

摂取量(ml)× アルコール濃度(度数/100)× 0.8 =純アルコール量(g)


例えば、アルコール度数5%のビール500mlの
純アルコール量は20gです。
 計算式 500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)

厚生労働省による1日あたりの純アルコール量の目安は、男性は40g以下、女性は20g以下です。ただし、これはあくまでも目安であり、個人の体質や健康状態によって許容量は異なります。 以下の点も考慮し、自分にとって適切な飲酒量を設定しましょう。

年齢による違い

アルコールは年齢によって人体に異なる影響を及ぼします。特に高齢者の場合、加齢による体内水分量の減少などの理由で、同じ量のアルコールを摂取しても若い頃より酔いやすくなる傾向にあります。これは、アルコールの血中濃度が高くなりやすいためです。

 

体質による違い

アルコールの体内での代謝には、人によって大きな違いがあります。この違いは主に遺伝子によって決まり、アルコール分解酵素の活性に個人差が生じるためです。分解酵素の活動が低い人は、同じ量のアルコールを摂取しても血中濃度が高くなりやすく、酔いやすい、顔が赤くなる、動悸や吐き気を感じやすいなどの反応を示しやすいです。この現象は「フラッシング反応」として知られており、特に東アジア地域の人々に多く見られます。

海外のガイドラインに記載のある飲酒量は、適度となる飲酒やリスクが低いとされる飲酒量等、国ごとにその位置づけが異なるものであるため、単純に比較することはできませんが下記のグラフのように国の決める許容量も様々です。

 

性別による違い

アルコールの影響には性別による違いもあります。女性は一般的に体内の水分比率が男性よりも低く、同じ量のアルコールを摂取した場合でも血中アルコール濃度が高くなりやすいのです。さらに、女性ホルモンのはたらきにより、アルコールによる身体への影響が大きく現れる可能性があります。性別を考慮した上で自分に適した飲酒量を見極めることが大切です。

 

リスクを減らすための具体的な方法

健康的な飲酒習慣を実践するためには、以下の点に注意しましょう。

  1. 自分の飲酒状況を把握する:AUDITなどのスクリーニングテストを活用し、自分の飲酒習慣を把握しましょう。

  2. 飲酒量を事前に決める:行事やイベントでも、事前に決めた量を守りましょう。

  3. 飲酒前や、飲酒中に食事をとる:食事と一緒に飲むことで、アルコールの吸収を緩やかにできます。お酒に酔いにくくする効果もあります。

  4. チェイサーを飲む:飲酒の合間に水(又は炭酸水など)を飲むことでも、酔いを防ぐ効果があります。
  1. 休刊日を設ける:毎日飲むと依存症のリスクが高まります。週に1~2日は休肝日、禁酒日を設けましょう。

 

飲酒に関する注意点

飲酒は多くの人にとって楽しい時間を提供しますが、特定の状況や条件下では、適切な判断が求められます。健康と安全を守るためには、以下の状況での飲酒は避けるべきです。

  • 妊娠中や授乳中、20歳未満リスクが高いため、飲酒を控えましょう。
  • 運転前や法律で禁止されている場合:安全のため、飲酒しないでください。
  • アルコールに敏感な体質の方: 少量の飲酒でも身体に強い影響を及ぼす可能性があります。
  • 病気療養中や薬を服用中の方: 特定の薬物とアルコールは相互作用を起こし、健康に悪影響を与えることがあります。
  • 精神的な不調を感じている方: アルコールは一時的に気分を高揚させることがありますが、不安やうつなどの精神的な問題を悪化させることがあります。心の健康を第一に考え、支援を求めることが重要です。
その他、以下の点にも注意しましょう
  • 他人への飲酒の強要はしない
  • 飲酒後の運動・入浴は控える
  • 飲酒運転は絶対にしない

 

飲酒関連で引き起こる健康問題

飲酒がもたらす健康への影響は、個人の体質や状況によって大きく異なります。お酒と上手に付き合うためには、特定のグループごとに注意すべき点を理解しておくことが大切です。

高齢の方が気をつけたい点

高齢になると、お酒の分解能力が落ち、同じ量を飲んでも体への影響が大きくなりがちです。認知症のリスクが高まることや、転倒による骨折、筋肉量の減少など、日常生活に支障をきたす可能性があるため、特に注意が必要です。

若年者が心に留めておきたいこと

 若い世代、特に10代や20代は、脳の発達が進んでいる大切な時期。多量の飲酒は、脳の機能への悪影響だけでなく、高血圧などの健康問題を引き起こす可能性もあります。健康と将来を守るためにも、飲酒は慎重に。

女性が知っておきたい事実

 女性は男性に比べて、少ない量の飲酒でも健康への影響が現れやすいことが知られています。特に、アルコール関連の肝硬変など、重大な健康リスクを抱えることがありますので、自分に合った飲酒の仕方を見つけることが重要です。

アルコールに弱い体質の方が気を付けるべき点

 アルコール分解能力が低い人は、長期間にわたる飲酒が原因で、口腔がんや食道がんのリスクが非常に高まることがあります。たとえ以前よりも飲酒に慣れたと感じても、そのリスクを忘れずに、適量を守ることが大切です。

 

我が国における疾病別の発症リスクと飲酒量

下記に、研究結果に基づくデータを示します。疾病毎に発症リスクが上がる飲酒量(純アルコール量)が記載されています。ご自身の飲酒量を調整するご参考にしてください。

 

疾病名 男性 (週) 男性 (日) 女性 (週) 女性 (日)
脳卒中(出血性) 150g 20g 微量でも
脳卒中(脳梗塞) 300g 40g 75g 11g
高血圧 微量でも 微量でも
胃がん 微量でも 150g 20g
肺がん (喫煙者) 300g 40g - -
肺がん (非喫煙者) - - - -
大腸がん 150g 20g 150g 20g
食道がん 微量でも - -
肝がん 450g 60g 150g 20g
前立腺がん(進行がん) 150g 20g - -
乳がん - - 100g

14g

 

 

まとめ

お酒は、適度に楽しむことで日々の生活に彩りを加えることができます。しかし、そのためには自己の飲酒習慣を見直し、健康を守るための知識を身につけることが重要です。この記事を通じて、飲酒に関連する健康リスクの理解を深め、自分や大切な人の安全を守ってください。また、自己判断が難しい場合や飲酒に関して心配がある場合は、医師に相談することをお勧めします。健康への配慮を忘れず、賢くお酒を楽しむことで、豊かな生活を送りましょう。

お困りの際は、当院のオンライン診療サービスをご利用いただき、飲酒についてのご相談をお気軽にどうぞ。

 

 

参考情報)

※1 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン

 

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