新型コロナウイルス感染症・オミクロン株の特徴と対策
前回は新型コロナウイルス感染症の検査を紹介しました。今回は現在感染拡大が続いているオミクロン株について現時点でわかっていることを様々なデータや厚生労働省の情報などから紹介したいと思います。
*2022年1月22日時点の情報を元に作成しています
オミクロン株とは?
オミクロン株は、新型コロナウイルスの変異株の一つです。変異とは、平たく言うと、ウイルスが細胞に入り、ウイルス自身を複製する過程で、遺伝子のRNAを構成する配列が変わり、その結果ウイルスの形状が変わることです。
オミクロン株はこの変異によってヒトの細胞に結合しやすくなり、感染力が高まったと考えられています。
実際、世界中でこのオミクロン株が拡大しており、新型コロナウイルスの1日の感染者数は、2022年1月19日時点で300万人を超えており、多くの国でオミクロン株の検出割合が半数以上を占めています1)。
オミクロン株の特徴は?
オミクロン株の特徴としては感染拡大が早いことです。その要因になっているのが潜伏期間の短さです。
オミクロン株の潜伏期間は約3日という分析結果が出ています2)。この日数はこれまでに感染が拡大したデルタ株(潜伏期間:約5日)などの他の株と比べて非常に短くなっています。この潜伏期間の短さが急速な感染拡大につながっていると考えられています。
また、基礎疾患や肥満を有しない50歳未満の人の多くは、感染しても症状が軽く自宅療養で軽快する傾向がみられています3)。
オミクロン株は重症化率が低いと言われているのになぜ感染に気をつける必要があるのか?
オミクロン株は重症化率が低いと様々なメディアなどで取り上げられています。そのような中、なぜ感染者を早期に抑制する必要があるのでしょうか?
その見解として、厚生労働省が2022年1月22日に共有された「オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策 3)」という資料の中に詳細を記載しています。その中での要点と考えられる点は以下となります。
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- 各国のデータからオミクロン株の感染拡大から遅れて重症者・死亡者が増加しており、日本でも沖縄県や大阪府、東京都などでは入院患者数、中等度以上の患者が増加している。
- 日本では高齢者の人口が多く欧米に比べて高齢者のブースター接種率が低いことに加え、オミクロン株はワクチン未接種者の重症化が顕著であるが日本においてもワクチン未接種の人も1-2割存在する。
- 軽症者が多いとは言え、感染者数が膨大になると欠勤者や休園・休校が続出し、社会の機能不全に繋がることが危惧される。医療や福祉の現場ではすでにその傾向が見られている。
- 重症率が低くても感染者数そのものが増えてしまうと、一定割合の重傷者が発生するため、医療提供体制が拡充されたとはいえ、感染が疑われる全ての人の検査や治療を医療機関で行おうとすると、医療提供体制のキャパシティを超えてしまう可能性がある。
感染抑制のためにできること
個人としての対策は、マスクの正しい着用、手洗い、換気、3密の回避、ワクチン接種などが大切と考えられます。自分にできることから実行していきましょう。
また、新型コロナウイルス感染症の症状が疑われる場合は保健所や主治医の先生にすぐに相談しましょう。自分で判断せずに専門家に相談することが大切です。
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