名古屋市における感染の状況~メイトウホスピタルでの日常診療より(3)~
医療法人香徳会 メイトウホスピタル
理事長 加藤公彦
前回は名古屋市における感染の状況~メイトウホスピタルでの日常診療より(2)~の記事で、外来で出来るCOVID-19感染症に対する主な治療について紹介しました。なお、COVID-19感染症の治療については、現在のところ、二類感染症であるため、COVID-19感染症と診断された後の治療については、全額公費負担となり、自己負担はありません(基礎疾患に対する治療等一部自己負担が発生する場合はあります)。
さて今回はCOVID-19感染症のメイトウホスピタルでの治療成績について紹介しています。
COVID-19感染症の治療成績
2022年8月1日現在、メイトウホスピタルでは約140名の患者様に中和抗体静注療法や抗ウイルス薬投与を実施してきました。そのうち約100例の治療成績をまとめたものを、第247回日本内科学会東海地方会で発表いたしました。治療成績は以下の通りです。
1人を除いてほぼ全員(99%)重症化することなく治癒することができました。
その他 味嗅覚異常や長引く咳に対する治療
COVID-19感染症においては、発症早期から血清亜鉛値が低下し、重症化や味覚異常、嗅覚異常の原因になっていると考えられております( 参考文献 )。そのため、当院ではこうした症状に十分に注意を払い味嗅覚異常については、自覚症状が出現してすぐに治療を並行して実施していきます。具体的にはビタミン製剤・亜鉛製剤の内服治療や点鼻ステロイド薬投与ならびに漢方薬での治療等です。また、味嗅覚のリハビリテーショントレーニングも説明しています。
また、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、膠原病や肺気腫、間質性肺炎などの持病がある方や、咳喘息やatopic cough、喫煙歴が長い方などでは、COVID-19感染症治療隔離解除後も咳や痰といった症状が遷延する方がいらっしゃいます。そうした場合にはメイトウホスピタル内科外来にて咳嗽についての治療を実施していきます。概ね1~2か月程度の通院で治癒する方が殆どです。