名古屋市における感染の状況~メイトウホスピタルでの日常診療より(2)~
医療法人香徳会 メイトウホスピタル
理事長 加藤公彦
前回は名古屋市における感染の状況~メイトウホスピタルでの日常診療より(1)~の記事で、猛威を振るうCOVID-19感染症の第7波と、主流となっている変異株であるBA.5株の症状と診断について紹介しました。さて今回はCOVID-19感染症に対する外来での治療について紹介しています。
COVID-19感染症の治療
外来で出来るCOVID-19感染症に対する治療は主に次のようなものがあります。COVID-19感染症の治療については、現在のところ、二類感染症であるため、COVID-19感染症と診断された後の治療については、全額公費負担となり、自己負担はありません(基礎疾患に対する治療等一部自己負担が発生する場合はあります)。
解熱(熱を下げる)・鎮痛(喉の痛みをおさえる)・鎮咳(咳をしずめる)・抗炎症(炎症をやわらげる)作用のある薬の服用による対症療法
風邪の時などの治療と同じような治療法です。
中和抗体静注療法
COVID-19ウイルスに対する抗体を点滴注射する治療法です。オミクロン株の時までは、主流であった治療法ですが、BA.5株に対して効果が低いことから最近はあまり実施されることはありません。
抗ウイルス薬投与
ウイルスの増殖を直接抑える薬剤(RNAポリメラーゼ阻害薬)による治療方法で、重症化を抑制する効果が高いとされており、BA.5株に対する治療の主流となっています。この治療は、基礎疾患がある方や高齢者を対象に実施されています。いわゆる重症化リスクを有する方に限って実施しております。
治療薬は経口内服薬と点滴静注薬があります。
経口内服薬としては、「モルヌピラビル」(販売名:「ラゲブリオ」)と「ニルマトレルビル・リトナビル」(販売名:「パキロビッド」)があります。点滴静注薬としては、レムデシビル(販売名:「ベクルリー点滴静注用」)があります。それぞれの薬剤とも長所・短所があり、医師の判断で使い分けを行います。
ただ、どの薬剤も最新のお薬で、厚生労働省の特例承認薬であるため、効果も高いですが、未知の副作用や薬による後遺症などのリスクもありますので、よく担当医と相談してから、『治療によるメリット>副作用のリスク』の場合に、治療を行います。
(厚生労働省 新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第8版より)