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名古屋市における感染の状況~メイトウホスピタルでの日常診療より(1)~

[2022.08.08]

医療法人香徳会 メイトウホスピタル
理事長 加藤公彦

COVID-19感染症の第7波はBA.5株の強い感染力が猛威をふるい、名古屋市内では連日、約5,000人/日の過去最大級の感染者数となっています(名古屋市健康福祉局データ 2022年7月30日現在)。年齢層は10歳未満~50歳代までで、実に感染者数の約80%を占めています。また、死亡率は0.059%で、重症化率は0.017%ですから、凡そ99%の感染者は軽症又は中等症の感染患者です。2021年7月の第5波の時には、重症化率が約5%で死亡率が1.6%とされていました(大阪大学医学部感染制御学 忽那 賢志教授 『新型コロナの症状、経過、重症化のリスクと受診の目安は?』 )ので、重症化率・死亡率とも1年前と比較し、感染力は強くなったものの、病原性は低下したと考えられます。

そうは言っても、感染者数が増えれば一定の割合で、重症者数も死亡者数も増えるわけですので、感染しないように注意するに越したことはありません。特に重症化リスク(高齢・基礎疾患がある人)を有する人は注意してください。

メイトウホスピタルでのCOVID-19感染症診療

COVID-19感染症(BA.5株)の症状

COVID-19感染症(BA.5株)の症状の特徴は37.5度以上の発熱(87%)、喉の痛み(67%)、咳(72%)でありこの3つの症状があれば、ほぼCOVID-19感染症(BA.5株)とみて間違いないと思います。また、10%の患者で味嗅覚異常があります。逆に、息切れや呼吸困難、下痢、腹痛、吐き気といった症状は少ないです(当院102名のデータ及び、7月29日福井県健康福祉局データ118名)

こんな症状の時はCOVID-19感染症のことが多い(典型例)

  • 〇月1日 夕方から軽い喉の痛みや違和感。そのまま就寝するが夜中に目が覚めて体温を測ると38度近くの発熱があり、解熱剤を飲んで寝る
  • 〇月2日 薬を飲んだので朝は体温が37度くらいだが、その後解熱剤がきれて徐々に体温が38度くらいまで高くなる。喉の痛みも昨日より強くなり、痰がからみ、咳も出るようになる。

こうした症状で受診される方がCOVID-19感染症(BA.5株)に多いケースです。

症状はどれくらい続くの?

BA.5株の症状は以前と比較して早く症状が治まる傾向にあるようです。前述の福井県健康福祉局の調査(コロナ「BA・5」の症状、治まる日数を調査 「第7波」感染拡大で福井県、発熱が最多7割)によると発熱は平均1.5日、咳は平均3.5日、喉の痛みは平均4.2日であり、名古屋市西保健所の調査(2022年7月31日)でも発症後3日以内に90%以上の患者が解熱し、発症後5日以内に90%以上の患者で咳は治まるようです。

COVID-19感染症の診断

メイトウホスピタルでは、発熱・咽頭痛・咳といった症状がある患者さんについては、30分で結果が出る抗原定性検査を実施しております。検査というと皆さんはPCR検査を最初に思い浮かべると思いますが、抗原定性検査は迅速・簡便であり、自分でも検査できることから自宅でも検査可能です。また感度85%、特異度99%と診断精度が高く(発症7日以内の有症状者)、医師の診察や問診と併せて実施すればほぼ確実に診断できます。

なお、抗原定性検査は少なくとも2回実施することが推奨されています。

<やや詳しい解説>

下記の図にウイルス量の推移と検査方法の位置付けを示します。PCR検査では発症早期から陽性になりますが、その一方で治って感染力が無い患者様も陽性になります。無症状の濃厚接触者の検査には有効ですが、すでにCOVID-19感染症に典型的な症状がある患者様の検査の場合には、インフルエンザやRSウイルス、A群β溶連菌感染症迅速検査と同様にCOVID-19感染症抗原定性検査で迅速に診断することで臨床上は全く問題ありません(新型コロナウイルス感染症 診療の手引き・第8.0 版)

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