新型コロナウイルス感染症が疑われる時の鑑別方法と対応

[2022.11.14]

発熱等の風邪症状が出ると、新型コロナウイルス感染症かも？と思うかもしれません。この記事では、まず新型コロナウイルス感染症と類似の症状を呈するその他の疾患との鑑別方法をみていきます。

新型コロナウイルスもオミクロン株の一種であるBA4,5などさまざまな変異株が出現しており、特徴的な症状も変化してきています。今回はこれら変異株の特徴も抑えていきたいと思います。

また鑑別の結果、やはり新型コロナウイルス感染症が疑われる場合の対応について見ていきましょう。

新型コロナウイルス感染症と風邪、インフルエンザ、アレルギー性鼻炎は多くの共通の症状を引き起こすことが知られています。新型コロナウイルス感染症と各疾患との症状の違いについて詳しくみていきましょう。

新型コロナウイルス感染症は、会話、咳・くしゃみなどによるウイルスを含んだ飛沫や飛沫よりも小さいエアロゾルと呼ばれる粒子を吸い込むことにより感染します。

主な症状としては、発熱、呼吸器症状、倦怠感、頭痛、消化器症状、鼻汁、味覚異常、嗅覚異常、関節痛、筋肉痛などがあります。

特にBA.4株,BA.5株などの特徴としては頭痛、咳、鼻水、喉の痛みなどがあげられており、感染力が強いことも特徴です。

下記の表ではBA.4株、BA.5株の特徴も踏まえ新型コロナウイルス感染症と風邪、インフルエンザ、季節性アレルギーで現れる症状を比較しています。

症状	新型コロナ	風邪	インフルエンザ	アレルギー
頭痛	よくある	まれ	よくある	まれ
咳	よくある(乾いた)	よくある	よくある	時々
筋肉痛	よくある	時々	よくある	ない
疲労感	よくある	時々	よくある	時々
くしゃみ	まれ	よくある	記載なし	よくある
喉の痛み	よくある	よくある	よくある	まれ
鼻水・鼻づまり	よくある	よくある	よくある	よくある
発熱	よくある	時々	よくある	ない
下痢	時々	ない	時々(子供で多い)	ない
吐き気・嘔吐	時々	ない	時々(子供で多い)	ない
味覚・嗅覚障害	よくある(早期ー鼻水や鼻づまりを伴わない)	時々(特に鼻づまりを伴う)	まれ	時々
鼻、目、口、または内耳のかゆみ	ない	記載なし	記載なし	よくある
はやり目(結膜炎)	時々	記載なし	記載なし	時々
息切れ	よくある	記載なし	よくある	記載なし

（※）Mayo Clinic「COVID-19, cold, allergies and the flu: What are the differences?」²⁾を参考に作成

新型コロナ感染症と風邪はともにウイルスによって引き起こされますが、原因となるウイルスが異なります。症状についても重なる部分が多いですが、一部の症状は異なります。

新型コロナ感染症では風邪と比べて、味覚・嗅覚異常や下痢や吐き気などの消化器症状、頭痛など現れやすい一方で、くしゃみは少ない傾向にあります。

インフルエンザも新型コロナウイルス感染症と同様にウイルスによって引き起こされます。新型コロナウイルスはSARS-CoV-2に引き起こされ、インフルエンザはインフルエンザAウイルスまたはインフルエンザBウイルスによって引き起こされます。

臨床症状からの鑑別は非常に難しいと言われており、最終的には検査で鑑別診断を行うことが一般的ですがいくつか異なる点もあります。

まずインフルエンザは感染後1-4日で発症することが多いのに対し、新型コロナウイルス感染症では症状の開始まで2−14日かかると言われています。

なお、新型コロナウイルス感染症はインフルエンザより重篤な症状を引き起こすことが多いと言われています。

季節性のアレルギーはウイルスによる感染症ではなく、免疫反応を引き起こすアレルゲン（花粉など）によって引き起こされます。

新型コロナウイルス感染症では息切れや呼吸困難がありますが、季節性アレルギーではあまり起こりません。

新型コロナウイルス感染症は他の疾患と類似の症状を有することが多いですが、一部の症状は異なることがお分かりいただけたかと思います。

他方、ご自身で新型コロナウイルスに感染したかどうかの判断をすることは非常に難しいと思いますので、発熱など体に変化を感じることがあればかかりつけ医や保健所等に連絡することが重要です。

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