パーキンソン病?疑われる症状と前触れ症状、診断基準
監修:齋木 英資
(愛知医科大学パーキンソン病総合治療センター教授)
前回の記事ではパーキンソン病の早期診断・治療の重要性について解説しました。この記事では「具体的にどのような症状が出るとパーキンソン病を疑うべきなのか?」について詳細を説明します。
パーキンソン病が疑われる症状
パーキンソン病には特有の症状があります。またこれらの症状には自分自身で気づかずに周りの人が先に気づくことも多いです。自分自身や周りの大切な人に以下の項目が複数当てはまる場合はすぐに神経内科の先生に相談しましょう。
パーキンソン病が疑われる時のチェックシート
- PCのキーボードやマウスが使いづらくなった
- 歩く時に足が引っかかったり引きずったりするようになった
- 小銭の出し入れやボタンかけがしづらくなった
- 小声でぼそぼそしゃべるようになった
- 寝ている時に大声を出したり暴れると家族に言われた
- 歩く時や会話している時に手足が震えるようになった
- 洗髪動作や歯みがき、調理の時のかき混ぜ動作がしづらくなった
- 急に便秘がひどくなった
- 歩く時に腕を振ってない、遅くなったと周囲の人に言われた
- 字が小さく、汚くなった
- 匂いがわからなくなった
- 肩凝りが急にひどくなった
パーキンソン病の前触れ症状
パーキンソン病では上記のようなパーキンソン病特有の症状の前から「前触れ」となる症状が現れます。具体的には以下の症状となります。
自律神経に関連する症状
便秘、頻尿、汗の異常(全身、体の汗の増加)
精神面に関する症状
意欲の低下、気持ちの落ち込み、不安
感覚に関する症状
手足の痛みや痺れ、嗅覚の異常(匂いがわかりづらい)
これらの症状だけではパーキンソン病と特定できませんが、これらの症状に続いてチェックシートで確認したような症状が見られる場合はパーキンソン病が強く疑われますので注意が必要です。
パーキンソン病の診断基準
パーキンソン病を診断するための条件は以下となります。
パーキンソン病と診断するための条件
パーキンソン病が疑われる場合の早期受診の重要性
前回の記事でお伝えしたようにパーキンソン病では早期の診断と治療の開始が非常に重要となります。
一方パーキンソン病の診断では、これらの症状の原因がパーキンソン病によるものなのか、もしくはパーキンソン症候群と言われるパーキンソン病と似た疾患によるものなのかの確認が行われます。原因がパーキンソン病かパーキンソン病症候群かで診療方針が異なってくるからです。
この診断のプロセスでは、画像検査やその他の検査に加え治療薬に対する症状の反応を確認するなど様々な項目を調べる必要があり、入院での検査が必要なこともあります。
症状の原因を早期に特定するために、上記で示した症状がみられた場合は神経内科を可能な限り早い段階で受診し、症状の原因を特定することが大切です。
終わりに
今回はパーキンソン病特有の症状や前触れ症状、さらにはパーキンソン病の診断の条件などについてお伝えしました。
パーキンソン病特有の症状や前触れ症状に気づいたとしても、それらの症状の原因を特定しパーキンソン病と診断することは決して簡単はことではありません。だからこそ、パーキンソン病に詳しい専門の先生の診察を受けることが重要となります。
自分自身や自分の周りの大切な人がパーキンソン病かもしれないと思った時は、すぐに神経内科を受診しましょう。
また次の記事では、パーキンソン病と紛らわしい病気について詳しく解説していきたいと思います。
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